【テニス】デビス杯ワールドグループで表面化した
「日本と強豪国の差」

  • 神仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi photo by Ko Hitoshi

 準々決勝でWGの厳しさを痛感した日本代表だったが、2014年シーズンのデ杯を史上最高成績となるベスト8で終えることができた。日本男子テニスの歴史に新しい一歩を刻んだが、植田実日本代表監督は控えめに戦いを振り返った。

「たしかに、日本のテニス史上初めてのことだったかもしれませんが、いろんな運が重なったと私自身は考えています。正直、ベスト8に来たからすごいという気持ちは持っていない。ただ、可能性があることは、選手に教えられた」

 今回、エースの錦織抜きのチームにあって、日本の中心として戦った伊藤は「このプレーを今後に生かしたい。上のランクの選手とやるのは、すごく楽しみ。挑戦者として戦うことで、自分のプレーレベルが自然と引き上げられて、そういう経験を1年間通してできれば、ツアーで戦えるようになる」と前を向く。21歳の内山の成長も日本にとって今後への好材料だろう。

 さらに、今回代表デビューを果たし「これからも日本代表として、もっと活躍できれば」と語ったダニエルが、さらに経験を積み、ツアーでいかにレベルアップできるか。それが、日本代表が強くなるためのひとつのキーになるだろう。スペインのバレンシアに拠点を置くダニエルに対して、ナショナルチームがどんなサポートをしていくのかも、日本にとって課題のひとつといえる。

「来年に向けて時間はありますが、選手個々のレベルアップは不可欠。ダニエルをはじめとした若手に、もう少し目を向けながら、新しい刺激を与えていきたい」(植田監督)

 もちろん、錦織の存在抜きにして、来年のWGでの日本の勝利はイメージできない。ただ、今後も個人戦の厳しいツアースケジュールの合間をぬって行なわれるデ杯では、ベストメンバーを揃えることができないことも十分ありえる。

 それでも勝利するためには、一人でも多くの日本選手が、5セットマッチを含めたツアーレベルでの経験値を上げなくてはいけない。そして、日本代表の選手層を厚くしていくのは言うまでもない。それができなければ、新参者の日本は、トップ16カ国で構成されるWGに残ることはできないだろう。

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