【テニス】デビス杯ワールドグループで表面化した
「日本と強豪国の差」

  • 神仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi photo by Ko Hitoshi

 現在、5セットマッチが行なわれるのは、テニスの4大メジャーであるグランドスラムとデ杯だけだが、伊藤もダニエルもランキングが低いため、まだ5セットマッチのグランドスラム本戦の舞台に立てていない。つまり、デ杯でしか5セットマッチをプレーしていないのだ。

今回のデビス杯準々決勝で日本代表デビューのダニエル太郎(写真左)今回のデビス杯準々決勝で日本代表デビューのダニエル太郎(写真左) しかも、21歳のダニエルにとって、今回が人生初の5セットマッチだった。デビュー戦となったダニエルは勢いのあるストロークを見せ、「初めての(デ杯での)試合にしては、いい試合ができた。でも、勝てなくて悔しいです」と振り返った。5セットマッチをコントロールし、要所でポイントを奪ったのは、経験に勝るチェコのロソルだった。

「5セットマッチなので、いつでも挽回できる時間はあるし、チャンスはあると考えていた。自分は5セットの戦い方を理解していたし、それを活かせた」(ロソル)

 さらに、すでにデ杯で2連覇していても、国を代表して戦うことに対してチェコ選手のモチベーションは高かった。03年から代表入りし、シングルスで15勝目、ダブルスで18勝目を挙げ、デ杯優勝請負人ともいえる活躍を見せた35歳のステパネクは、次のように語った。

「厳しいスケジュールは、皆同じ。母国のために、誇りを持って出場して、自分のベストを尽くすだけです。ここ6、7年で、チェコはいい結果を出してきていますが、ケガなく、それぞれが自分の役割を果たしていけば、おのずと結果はついてくる。デ杯の優勝カップは、グランドスラム何個分よりも価値があるものです」

 今回の準々決勝で、錦織抜きでプレーすることを強いられた日本代表は、その選手層の薄さが浮き彫りとなった。日本はWGに属しながら、トップ100の選手は錦織だけ。チェコの4人と比べて、戦力不足は否めない。グランドスラムの本戦ストレートインの目安は104位前後で(欠場者によって若干変わる)、その圏内にいない日本選手は、常に高いレベルのツアーに身を置いて自らを高めることができないうえ、5セットマッチの経験も積めないでいる。

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