43歳クルム伊達公子、2014年シーズン成功のカギは!? (2ページ目)

  • 神 仁司●取材・文・撮影 text&photo by Ko Hitoshi

 さらにさかのぼると、クルム伊達は昨年、3月にマイアミで腰を痛めてから、100%の状態でプレーできる機会が少なかったという。

「昨年、ケガがない時はいいテニスができていましたけど、腰を痛めてから常に体のどこかに不安を抱えながらプレーしなければならなかった」

 体のリカバリーやケガの回復に費やす時間が増えてしまうと、どうしてもパフォーマンスが下がる傾向に陥る。昨年のような悪循環を繰り返さないために、ケガをすることなくツアーを回ることが、今季を成功に導くカギになるとクルム伊達は考えているのだ。もちろん年齢を重ねるにつれて、体のケアやコンディション維持が難しくなることは承知しているが、その目標を達成するための対策を考え続けている。

「今から筋力をアップするのは難しいですから、いかに今の筋力を維持するか。普通に生活していても、この年齢になれば、筋力はどんどん衰えていく。それを、アスリートのレベルで考えた時、アップというより、いかに落とさないかですね」

 また、14年シーズンは、錦織圭が元世界ランキング2位のマイケル・チャンをコーチに招聘し、ロジャー・フェデラーが、元世界ランキング1位のステファン・エドバーグをコーチに迎えるなど、すでに引退した名選手の現場復帰が相次いでいる。

会見では笑顔も見せたクルム伊達会見では笑顔も見せたクルム伊達 そうした話題についてクルム伊達は、「(新しいコーチに)シュテフィ・グラフ、と言わせたいんでしょう?(笑)」と笑顔で答えたが、元名選手をコーチに起用する予定はなく、「自分で自分をコーチングしていかないといけない」と語る。

「私の場合、そんなに(キャリアの)先が長いわけではないし、(新たなコーチを雇うのは)すごく難しいところですね。今自分が持っている力をどう使って、どうやってプレーしていくかを考えていかないといけない。基本的にはほとんど自分で考えてやっていくと思います。"プレーヤーも私、コーチも私"ということです」

 今シーズンのテーマに掲げているのは「いかに省エネテニスで、いかに効率よく、いかに自分のパフォーマンスをキープできるか」ということだ。ツアーに同行する中野陽夫コーチも、「いいシーズンにできたらいいですね」と笑顔で語る。

 2014年を昨季以上のシーズンにするために、自らがやるべきことを十分理解し、クルム伊達は次の試合に向けて走り続ける。

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