【車いすテニス】王者・国枝慎吾。「あえて変化を求めた年だった」 (2ページ目)

  • 荒木美晴●文・写真 text&photo by Araki Miharu

―― 全仏オープンと全米オープンは準優勝でした。この2つはグランドスラムなので、「勝ちにいった試合」の方だったと思うのですが、その試合で負けてしまった時はどのような心境でしたか?

「今まで出ていた結果が出なかったことに対しては、自信が揺らぎました。でも、攻める場面で攻めきれていない、つまり決定力のなさが原因であることは明確だったので、逆にそこさえできれば十分試合展開は変わるという分析もしていました。ただ、原因はわかっても何故それができないのかとなると、やっぱり練習内容が上がっていないからという結論になるので、丸山(弘道)コーチにアドバイスをもらったりしました。最終戦の世界マスターズでは、この課題がクリアできた。結果を残せたのはよかったですね」

―― 変化・挑戦の今シーズン、国枝選手を支えたものは何でしょうか。

「ちょっと矛盾してしまうんですけれど、去年も一昨年も逃していた年間ランキング1位が欲しかったんです。だからここはトライする、ここは勝ちにいってと、計算したうえでの試合の出方をしていました。逆に、なかなか調子が上がらない中で1位になったのは僕の中では大きいですし、これからきっと自信になっていくと思います」

―― 近年は若手選手が台頭してきましたね。

「(グランドスラムに出場する開催国枠以外の)トップ7では去年とは3人が入れ替わっているし、そういう意味では十分変わった年かなと思います」

―― 勢力図が大きく変わろうとしている今、心境に変化はありますか?

「やっぱり、データが入っている戦い慣れた相手と、新しい3人とやるのとでは、自分自身も臨むにあたって心境が違います。若手はなかなか読めない部分もあるので。でもね、今年1年やってみて、手がつけられなくなる感じはしないなと思いました。もちろん成長はしているけれども、自分のコントロール外に行くことはなさそうかなという期待はありますね。ただ僕と彼らとの差は少しになってきているので、最終的には自分が彼らの『壁』になりたいです、やっぱり」

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