【テニス】日本女子最上位。クルム伊達が待ち望む「若手の成長」 (2ページ目)

  • 神 仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi photo by Ko Hitoshi

「偉大な選手でもあります。私が小さい頃も、世界のトップで戦っていた選手ですから、憧れもある。他のトップ選手とは違ったオーラをすごく感じます」(土居)

 ふたりの過去の対戦成績は、クルム伊達の2勝1敗だが、直近の対戦(WTA北京大会の予選)では、体調不良のクルム伊達が試合途中でリタイアして、土居が勝利していた。

 4度目の対戦は、緊迫した試合展開になった。そしてクルム伊達は、6-7、4-6で敗れた。最後まで強い気持ちで戦い切った土居は、素直に勝利を喜んだ。

「伊達さんに勝つのはひとつの目標でもあったし、日本で勝てたのはすごく大きい」

 現役再チャレンジを始めてから、「若手の刺激になりたい」とプレイを続けてきたクルム伊達にとって、土居ら若手の成長は、心のどこかで待ち望んでいたものでもあった。

「こういう結果が、どんどん増えていかないと、日本の女子テニス界は明るくならない。いつまでも私が勝ち続けている場合じゃないです。競っている場合じゃないと思うぐらいで、(私が)挫折感を感じるぐらいの方がいいんだと思います」(クルム伊達)

 今回の大阪大会では、22歳の土居だけでなく、21歳の奈良くるみもシングルスでベスト8に進出した(10月10日現在)。土居と奈良は、ジュニア時代から切磋琢磨してきた同級生。土居は75位、奈良は87位まで世界ランキングを上げ、共にトップ100入りをしている。クルム伊達は、そのふたりのさらなる成長に期待する。

「今回、土居ちゃんもくるみちゃんも、日本の大会で勝っている。今、くるみちゃんが上がってきて、いい刺激をし合えている関係なんじゃないかな。それで、今回のいい結果になっていると思う。ふたりとも体が大きい方ではないので(奈良は身長158cm、土居は159cm)、トップ100に入って、これからさらにトップ50やその上を考えると、壁があるのは間違いないですから、そこでどういうテニスをしていくか、次のステップを踏まえて戦っていかないといけないと思います」

 もちろんクルム伊達も、負けたままで終わるつもりはない。

「私自身もやるからには、当然ベストを尽くして、ベストの結果を毎回求めていく。今日の結果(土居に2回戦で負けたこと)にも満足していないですし、また次に土居ちゃんと対戦する時には、やり方を考えて、改善できることがまだあるという気持ちがあります」

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