日本代表として。錦織圭が語った「デビスカップへの思い」

  • 神 仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi photo by Ko Hitoshi

 錦織の思いは第2シングルスの添田にも波及し、2勝2敗で迎えた第5試合で添田が勝利。日本は、来シーズンのワールドグループ復帰を決めた。植田実デビスカップ日本代表監督は、就任1年目で大仕事をやってのけた。

「彼ら(日本代表)が戦う本来のステージに戻れた。そこ(ワールドグループ)にいなければ、彼らの力を引き出せない。何としてでも、鍛え上げ成長した彼らを(ワールドグループで)プレイさせたいという思いだった」

 デビスカップが終われば、また通常の個人戦になり、それぞれワールドツアーを転戦していく。ただ、世界ナンバーワンのノバク・ジョコビッチや世界2位のラファエル・ナダルが、そうであるように、トッププレイヤーになればなるほど過密スケジュールになり、しかもハイレベルのテニスを要求され、精神的にも体力的にも負担は大きくなる。今シーズンの錦織は、アジア/オセアニアゾーンIの1回戦と2回戦は出場しなかったが、それでも錦織のデビスカップへの思いは変わらない。

「今回みたいに自分にいいきっかけを与えてくれるデ杯でもあるので、スケジュール的に、毎回出られるわけではないけど、もちろん出られる時は、出たいですね」

 日本は、世界16強で構成されるワールドグループでの対戦でまだ勝利したことがない。世界の強豪国と対等に戦い、勝利するには、日本チームのレベルアップが必要不可欠だ。

「ひとりひとりが強くなるしかない。みんなが強くなって、日本チームを底上げできればいい」

 こう語った錦織の目は、自信を取り戻し、強豪国にいるトップ10やトップ5の強敵との対戦を心待ちにしているかのように輝いていた。

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