【テニス】充実の笑顔。クルム伊達の好調を支える原動力

  • 神 仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi  photo by Ko Hitoshi

 フォアのウィナーを決めて、ガッツポーズを作りながら満面の笑顔になった場面もあったが、大事な局面でバックボレーをミスしても笑顔を見せたのには驚きだった。

「今年は、ストイックに追い込みすぎないように心がけていて、それができている。自分のテニスのクオリティに対しても、あまり思い詰めないようにしているところはある」

 また、コート上はもちろん、コートの外でもストレスを溜めないようにしている。食生活にも気を配りながら、伊達公子時代とは食べるものが変わったという。

「シングルスの時は、カーボン(炭水化物)をたくさん取り込まなきゃという意識がある。テニスは勝ったら続けて試合があるので、やっぱりバランスよく食べなきゃいけない。試合前は、カーボン多めで、たんぱく質も取っておかなきゃいけない。お肉、カーボン、パスタ、ライスは、必要に応じて食べる。ダブルスになると、食べたいものを食べています」

 気分転換を兼ねて、食べたいものを食べる時もあるという。

「そういう時もあって、フィーリングで、お肉メインという時もある」

 ただ、甘いものにはやはり気を使う。

「会場の入口に、ヨーグルトアイスが売っていたんですけど、その前で1分間ジーッと立って、アイスクリームとにらめっこ(笑)。どうしようかな~って。手を出さずに帰りました。でも、グミは買いました。持っていると安心するタイプです」

 また、食事の嗜好について、クルム伊達の場合、多くの人と逆行しているのが面白い。

「(外食の時に)昔は、試合のことを考えて日本食ばかり食べていましたけど、今回だったらアルゼンチン料理とかよく行っていますね。普通だったら、年齢とともに和食が多くなるんだろうけど、私は逆でコッテリ系に。胃は強いです」

 3月で、クルム伊達が、現役再チャレンジを始めてから丸5年の月日が経過した。

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