【テニス】クルム伊達が語るテニス論「寝るのも食べるのも仕事」 (3ページ目)

  • 内田暁●文 text by Uchida Akatsuki
  • 佐藤ひろし●写真 photo by Sato Hiroshi

――まだシーズン序盤ですが、伊達さんの中で今シーズン、達成したい目標とは?

伊達 まずは今年こそ、ケガをしないこと。試合数も去年より少なくしたいと思っているし、ケガになる前に(試合を)止める勇気を持つことも必要だと思います。今回もフェドカップのあと、アキレス腱に少し痛みが出たので(出場予定だった)メンフィス大会は止めました。おかげでアキレス腱の問題も今は収まっています。試合に出たい気持ちを抑えないと、パフォーマンスが落ち、結果も出ないという悪循環に陥ってしまう。そうなる前に大きな決断を下せるようになることが、今年のテーマかと思います。

――今大会はシングルスとダブルスで計6試合を戦いましたが、身体の調子はいかがでしょう?

伊達 疲れがないわけではないですが、体調やテニスの調子を取り戻しているところではあります。マイアミに移動して、オフを取るかどうかはこれから考えます。時差もあるし、湿度も高いので、その辺をどう考えるか。でも、調子は悪いわけではないので、疲れさえ抜ければ良い感じで入れると思います。

――マイアミでも、デラクアとダブルスに出るのですか?

伊達 はい。本当に良い形でコンビネーションもできているので、すごく楽しみです。今大会はまだ組んで2回目だし、もっとやっていけば、強いペアになれると思っています。ただケーシーはダブルスのランキングが高く、誰とでも組める状況なので、「私と組みたい」と思ってもらえるように、私のパフォーマンスを維持していかなくては。マイアミなどで頑張れば、グランドスラムのチャンスも出てくると思います。

――カリフォルニアに来てから、あまり眠れていないと言っていましたが?

伊達 (前の大会が行なわれた)ブラジルとの時差もあり、こちらに来てからあまり眠れてなかったんです。寝られないと言っても、8時間くらいは寝てますけれど(笑)。調子が良いと9時間くらい寝られるんですが……。

――理想としては、どれくらい寝たい?

伊達 2日連続で9時間寝られると、かなり回復します。ただ、子どもじゃないので、9時間連続で寝るというのは、なかなかできないです(笑)。すごく疲れているときなど、よほど条件が整わないと。

――寝るのも仕事ですか?

伊達 そうですね。寝るのと食べるのは、仕事です。義務です。

 寝るのも食べるのも仕事??。そう語るクルム伊達の表情から、厳しいツアーのトップレベルで戦えることの、喜びがこぼれ落ちた。

 これまでにもすでに、クルム伊達には何度も奇跡を見させてもらった。予想だにしなかった感激も、味わわせてもらっている。それでも今のクルム伊達の姿を見ていると、彼女が進む先にさらなる奇跡が待っているのでは……そんな予感に自然と襲われ、思わず身震いしてしまう。

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