【テニス】フェド杯でロシアに敗退。絶不調・クルム伊達の誤算とは?

  • 神 仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi  photo by Ko Hitoshi

フェドカップのロシア戦に出場したクルム伊達公子。 ケガの影響もあり、1勝もできずに悔いの残る結果となったフェドカップのロシア戦に出場したクルム伊達公子。 ケガの影響もあり、1勝もできずに悔いの残る結果となった 50周年を迎えた女子国別対抗戦フェドカップ・のワールドグループ1回戦「ロシア vs. 日本」。6年ぶりに世界8強の舞台へ復帰した日本(ITF国別ランキング7位)は、アウェーでの戦いでロシア(同3位)に2勝3敗で惜敗。1996年以来のベスト4進出はならなかった。

 今回、シングルスで2敗を喫したクルム伊達公子は、敗退が決まると、沈痛な面持ちで誰と話すこともなく、目を真っ赤にして遠くを見つめていた。彼女にとって、誤算ばかりのフェドカップだった。

 2013年シーズンのクルム伊達(世界ランキング77位、大会時)はいいスタートを切り、1月のオーストラリアンオープン(全豪)で、現役再チャレンジ後初の3回戦進出。フェドカップ直前にタイのパタヤシティで開催されたWTA大会ではダブルスで優勝し、好調を維持してモスクワ入りしていた。

 現在、日本のエースは森田あゆみ(同57位)だが、森田は42歳で経験豊富なクルム伊達を、リーダーと見ていた。日本代表メンバー4人中、クルム伊達以外の3人が20代前半で、若いメンバーにクルム伊達は次のような希望を抱いていた。

「(若手が)個人戦とは違う緊張感と向き合って、それを越えないといけない瞬間が試合の中にたくさんあるはず。大舞台で、普段出しづらい力を出せる選手が多く育ってきてほしい」

 そして、モスクワ入り後、オリンピックスタジアムの屋内ハードコートで練習を開始すると、クルム伊達の表情は険しいものになった。アウトドアと違って、板の上にハードコーティングされたサーフェスは、ボールの回転によって弾んだり、失速したりと、予測しづらい。これでは、カウンターショットを得意とするクルム伊達にとって、グラウンドストロークのリズムを取ることが難しいのだ。

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