【テニス】トップ10も視野に。錦織圭が狙う2012年最高の締め括り (2ページ目)

  • 神 仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi
  • photo by Ko Hitoshi


 ジャパンオープン以前に錦織と対戦して、1勝2敗とリードされていたベルディッチは、
錦織のプレイを次のように評価していた。

「錦織はまだ若く、大きな可能性を秘めている。彼は、すごく速いゲーム展開をする。コート上での動きが俊敏で、ライジングでストロークを打つので余計速くなる。対戦相手としては、非常に危険だ。彼はまだまだ成長中で、さらに経験を積み重ねているので、よりいい選手になっていくのではないか。将来的にはトップ10に入る選手だと思う」

 決勝前夜には、「ベッドに入っても1時間ぐらいしか眠れなかった」という錦織。それでも、時速220キロ以上のサーブを武器にするビッグサーバーである第6シードのミロス・ラオニッチ(15位、カナダ)に対しても、リターンが冴えた。

「この(有明)コートでも、後ろに下がらず、前へ攻める姿勢をしっかり保てているのが勝てている要因だと思う」

 このように自己分析していた錦織は、第1セットはタイブレークを7-5で制して先取。第2セットは、ワンブレークの6-3でラオニッチが取ったが、ファイナルセットは錦織の独壇場となり相手に1ゲームも許さなかった。

「日本でベストのテニスができ、それは強くなった証だと思う。経験が実を結び強くなった」

 母国での嬉しい初優勝によって500ポイントを獲得した錦織は、ATPランキングを17位から自己最高の15位に上昇させて、大きな目標としている世界のトップ10入りを視野に入れた。

「これから500もそうですけど、マスターズ1000でも勝てるようにしたい」(注、マスターズ1000は、4大メジャーであるグランドスラムに次ぐグレードの大会で、その下がATP500大会。数字は、優勝すると獲得できるランキングポイント)

 こう語る錦織は、昨年、マスターズ1000大会・上海でベスト4(360点)、ATPバーゼル大会で準優勝(300点)という好成績を収めたため、ディフェンディングポイント(ランキングポイントは1年で消滅する)が多く、優勝の余韻に長く浸ってはいられない。

 2012年シーズンも終盤に入り、錦織の出場予定大会は、上海、バーゼル、パリ(マスターズ1000)となった。上海とバーゼルで早期敗退を避けることができれば、東京での優勝があるため、ランキングを大きく下げずにすむ。

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