【テニス】逆境の中でも前を向くクルム伊達。「がむしゃらにボールにくらいつく」 (2ページ目)

  • 神 仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi photo by Ko Hitoshi

 だが、今のクルム伊達は、良いリズムを持続できず、第2セットも4-6で落としてランキングどおりの結果となった。それでもバルトリは、クルム伊達に最大級の賛辞を贈った。

「ランキングと実際の勝負との関連はあまりないと思う。27歳の私と競りあう試合をする公子のフィットネスは41歳とは思えないぐらい驚くべきものでした」

 WTAソウル大会に続いて、母国の大会でも初戦敗退を喫したクルム伊達は、まだまだ上昇気流をつかめずにいる。

「いい状態ではないし、負けることは楽しいことではない。ましてや年齢を重ね、年々(自分より若い選手と)対等に立ち向かうのが難しくなってきているのは間違いない」

 それでも、09年から再び世界を舞台にして戦い、毎年レベルアップしているツアーの激しい競争の中で、トップレベルの選手と対峙しながらクルム伊達も進化を遂げてきた。

「5年前に再チャレンジを始めてから、私のボールに対する相手の慣れもあると思う。(クルム伊達対策を)いろいろやって来るので、簡単ではないことは痛感している」

「自分の中でいろいろ考えながら、もちろん勝つことへの気持ちは失っていない。ただ、勝てない中で、何が必要なのか、どういうプレイをしないといけないのか、どういうことを取り組んでいかないといけないのか、日々考えている」

 5年目となる現役再チャレンジ。今後、北京と大阪の大会にエントリーをしているクルム伊達。このまま結果の出ない状況をどのように打開していくのか。シーズン終盤に、上昇気流をつかめるのか。

「結果がついてくれば、もちろん嬉しいことだけど、そうじゃなくても、とりあえず、継続してやっていくしかないという気持ちでいる」

 これまでも逆境の中で、最後まであきらめない姿勢を貫いてきたクルム伊達は、笑顔を見せ、今も決して下を向いていない。

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