【テニス】USオープン初戦敗退。42歳になるクルム伊達公子の意味深な発言 (2ページ目)

  • 神 仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi
  • photo by Ko Hitoshi

「ツアーから離れた分、まだ勝負勘は戻っていないけど、いい状態です」というクルム伊達だったが、USオープンの1回戦では、ソフィア・アルビドソンにボールの緩急や軌道、バウンドの高低差などをうまく使われてミスを強いられた。結果、ゲームポイントやブレークポイントなど、ゲームを左右する大事な場面でのポイント獲得に苦しむことになり、敗退となった。

「この1カ月トレーニングしていたので、スタミナの問題はないんですけど、長いラリーや長時間の試合に対して、もう20代ではないと必要以上に思い過ぎてしまうところがある」

 20代の選手に比べ、体力面で不安があり、1990年代の「伊達公子」時代のような相手を圧倒する確固たる勢いや自信があるわけでもない。経験だけではカバーしきれない部分を、あらためて感じずにはいられなかった。

 昨年のウインブルドン以来、ケガなくいい状態で戦えたことで、クルム伊達には明るい表情も見られたが、結局、12年シーズンのグランドスラムでは勝ち星を挙げることができなかった。

「負けは負けですけど、あんまりそこまで真っ暗なトンネルの中という感じではないですね。少しずつでき始めていることも垣間見えたので。ただ、それをどう勝利につなげるかを、つかみきれていないところがある。身体も元気ですし、テニスも良くなってきているので、もう少し試合数をこなすチャンスをつくれれば、いいテニスができる可能性を感じました。それが、グランドスラムでなかったのは残念ですけど、(秋の)アジアシーズンのツアーへ切り替えていくしかない」

 現在WTAランキング103位のクルム伊達は、9月28日に42歳になる。だが、今後のモチベーションに関しては、「第二の引退」がちらつく今までにない意味深な発言を残して、周囲を驚かせた。 

「(今後のことは)どうでしょう!?(苦笑)。皆さんのご想像にお任せします」

 今後、クルム伊達は、ソウル、東京、大阪の各大会に参戦する予定だが、これが現役引退へのラストスパートになるのかどうか。もちろんいいプレイを期待したいが、彼女の気持ちがどう動いていくのかにも注目したい。 

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