【テニス】クルム伊達が語った現役への思い。「自分への期待が大きくなってくる」 (2ページ目)

  • 神 仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi
  • photo by Ko Hitoshi

――昨年ぐらいから、もしかしたら、これがラストグランスラムになるかもしれないという思いがよぎることは?
「グランドスラムに臨む時は、考えていないですね。逆に、大会が終わる時には、来年も来られるのかな?と多少思いますけど。昨年も、もしかしたらもう来ないかもと思ったけど、今年も結局来ているので(笑)。こればかりは、どこで終わりになるのか、毎年本当に難しいです」

――久しぶりにお母さんの昌子さんが観戦していましたが、一緒にロンドン観光は?
「そういうことはしないのが条件なんです。昔は、家に一緒に泊まったけど。そうするとやることが多くて、時間が足りないぐらいで、若い時ならまだしも、(大会期間中に)母の相手をしていたなら大変なんです。だから、来てもいいけど、勝手にどうぞという感じで(笑)。ただ、母も年なので、私の試合観戦というより、自分がヨーロッパに行く元気があるうちに、もう1回という思いがあったんじゃないかな」

――それでも、プレイを再び見せることができて、いい親孝行になったのでは?
「またケガするんじゃないかって、ハラハラドキドキしていたんじゃないかと思います(笑)」

――まずは、足を完治させることが先決ですが、夏の北米ハードコートシーズンで、再浮上のきっかけをつかめるでしょうか。
「予定していたWTAスタンフォード大会へすぐに行きたかったんですけど、あきらめました。やりたい気持ちを抑えて、治療に専念します。どこから出場するかはわかりませんけど、(ツアー下部の)ITF大会を絡めて、USオープンに向かいたいです。
 考えてみると、グランドスラムでは、いつも何かしらありますね。1月の全豪では、首が痛かったし、全仏とウインブルドンはふくらはぎのケガ。昨年の全米は、左手の骨折でした。でも、昨年は、(ツアーで)試合を多くこなしていた割には元気だったのかなと思います」

――たしかに、グランドスラムでは、いろいろありますね。
「ケガをすると、対戦相手がシード選手じゃないし、元気だとシードだし。どこまで試練を与えるんだって(笑)。まぁ、まずは結果うんぬんよりも、ケガなく戦うことが先決ですね。いい状態で、USオープンを迎えられるように調整したいと思います」

 インタビューでは、常に前向きな発言で、現役への強いこだわりを見せてくれた41歳、クルム伊達公子。彼女のチャレンジはまだまだ続きそうだ。

 今シーズン残されたグランドスラムであるUSオープンまで、クルム伊達がどこまでランキングを上昇させてくるか楽しみになってくる。

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