【テニス】クルム伊達、再チャレンジ5年目の本音。「あと5歳若い体がほしい」 (2ページ目)

  • 神仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi
  • photo by Ko Hitoshi

「インディアンウェルズに続いて、マイアミのレベルの高いカットオフ(予選)をクリアして、本戦に入れたのは、ふたりの成長だと思うんです。でも、私達はこれからどうやって、この位置をキープしつつ、さらに上に勝っていくのかということを考えた。メキシコ大会が終わった後に、何が強みで何が弱みか、それぞれの強み弱みをダブルスでどうカバーし合うのか話をした」

 新たな取り組みの中、「私自身、ダブルスによって良くなることもある」と語るクルム伊達は、試行錯誤の中でも、笑顔を絶やさずプレイし続けている。

 今後2012年シーズンは、守るべきランキングポイントが、昨年のウインブルドンの100点ぐらいで、しばらくポイントキープのプレッシャーに縛られることなくプレイできる。その中でクルム伊達は、次の点に注意しながら、自分の「テニスの質を上げる」ことを目指す。

「私の課題は、試合の中で、ファーストサーブの確率をいかに上げてプレイできるか。それと、アンフォースドエラー(凡ミス)を減らすこと。自分が主導権を握っていても最後に決めきれないことをどう解消するか、です」

 これら3点が改善されれば、自分のプレイの流れを作れるはずだし、結果が付いてくるはずだと信じている。

 そして、この4月に、クルム伊達公子の再チャレンジは丸4年が経過し、5年目に突入する。

「今までやってきて、グランドスラムにも出て、もう十分だろと自分に言い聞かせているところもあるんです(笑)。でも、ツアーの中にいると、41歳であることも忘れて、やっぱり追求したくなる」

 もう十分と思いながらも、いったんコートに立てば勝ちたいという本能は抑えられない。そんなジレンマの中にいるクルム伊達は、20代の選手と対戦すると、どうしても感じずにはいられないことがあるという。

「追求したところで、どうしても体がついてこない。だから、あと5歳でいいから若いときの体がほしいと最近特に思いますね(笑)」

 体がもつ限りは、プレイを続けたいと語るクルム伊達は、駆け抜けて来た4年間を笑いながら振り返る。

「テニスが好きですし、楽しみたい。たとえ負けてもツアーが楽しい。もう十分奇跡ですよ。あらためて考えると、奇跡を超えていて、もういいんじゃないかと思いますけどね」

 慣れとは怖いもので、最近、周囲もクルム伊達の活躍を当たり前のように見てしまう。だが、5年目に突入する再チャレンジを、あらためてそれが奇跡に近いということをかみしめながら注目していきたい。

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