【テニス】初のシードで挑む錦織圭の全豪。「理想のテニスができている」

  • 内田 暁●文・撮影 text & photo by Uchida Akatsuki

 現在、ランキング26位。そして、全豪オープンの第24シード。世界の『ほんのひと握り』に属した今、錦織は自らの心境を「もう引き返せない」と表現する。

「昨年末に複数のトップ10選手に勝ち、ランキングもここまで来た。自分には『上に行く実力がある』ということなので、ここからは努力次第で、上に行くか下がるかが決まってくる。努力すれば上がるとも限らないけれど、できる力はあると分かった。あとは自分の頑張り次第だと思います」

 これまでも錦織は、世界のトップを目標とし、そう公言もしてきた。だが、以前は地平の向こうに姿を隠していたその地点が、今は形として見え始めている。全容が見えるからこそ、そこに至るまでの道程の険しさも、体感で測ることができる。その現実に身震いするも、過去の実績が「自分には行くことが可能だ」と告げていた。ロディック戦の勝利は、その声を一層はっきりさせるものだったのだろう。

 もはや逃げ道はなく、言い逃れもできない。一歩間違えば、重荷にもなりかねない覚悟を背負い挑む、2012年最初のグランドスラム。世界を驚かせられる否かは、初戦の入り方がカギとなるはずだ。

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