ラグビー日本代表の新ハーフ団がジョセフHCに猛アピール。齋藤&山沢コンビは「大きな可能性」を秘めている (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

徐々に本領を発揮した山沢

 リードして試合が落ち着いてくると、山沢の本領はさらに発揮された。50メートル近いPGを決めたり、大外にいたWTB(ウイング)シオサイア・フィフィタ(花園ライナーズ)にキックパスを通したり、左足のアウトサイドキックで横回転をかけてタッチキックを蹴ったりなど、"山沢らしさ"を披露。

 齋藤と初めてハーフ団を組んでみた感想について、山沢はこう振り返る。

「すごくやりやすかった。齋藤も自分の声を待つだけでなく、自分の感覚や判断でプレーすることもやっていたので、チームコントロールもFWの人たちをリードできていたと思う。お互い助け合いながら、という点はよかった」

 指揮官であるジョセフHCにも、新ハーフ団の評価を聞いてみた。すると開口一番、まずは「彼らはすごく大きな可能性がある」と賞賛の言葉を述べた。

 齋藤について。「すごくコントロールすることができたと思っています。ラインアウトなどプレッシャーがかかってくるなか、難しいボールでもうまくさばいていた部分もあった。フィットネスもタフだし、すごく素早い動きを見せてくれてよかった」。

 続いて山沢について。「最初の試合としてはよかったかなと思います。もっと経験をたくさん積んでもらいたい。経験を積むことでもっといい選手になってくるし、これからもジャパンのジャージーを着てもっと試合に出ることで成長していくんじゃないか」。

 今回、スキルとスピードのあるふたりを先発で起用したことは、ジョセフHCが常に「(体の大きな海外の強豪に対して)小さい体を活かし、日本の強みとしてスピードを活かしていかないといけない」と話す言葉とも重なる。

 1年3カ月後に控える2023年ワールドカップで日本代表は、スピード、フィットネス、そしてアンストラクチャーからのアタックを武器に戦う方向なのは間違いない。そのタクトを握る存在として、SH齋藤、SO山沢の新たなハーフ団は今回のテストマッチでも通用することを証明した。

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