127キロの怪物タタフ、メガトン級の突進力で日本代表昇格をもぎ取る。パワーの源は「ギフトです」 (2ページ目)

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●撮影 photo by Saito Ryutaro

豪快さと巧みさ。課題はフィットネス

 東京SGの4年目。再び、日本代表入りのチャンスが巡ってきた。日本代表は現在、代表候補をふたつのグループに分けて合宿を行なってきた。タタフら大分で合宿をしていたNDS組と、宮崎で合宿を張っている日本代表の主力組。

 タタフの課題は、日本代表のジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)によると、フィットネス(体力)である。だから、あえてタタフを2試合続けて、80分間フル出場させた。結果は2試合連続でトライをマークし、再三、猛突進で大幅ゲインを見せた。この試合のノーサイド寸前、相手のマークが厳しくなっていたのに、10数メートルを突進し、あわやトライの場面もつくった。フィットネス面の成長を示した。

 プレーをよく見れば、豪快さだけではない。巧みなジャッカル(相手ボールの奪取)、倒れてもすぐに立ち上がるハードワーク。ハンドリングミスはいくつかあったけれど、タタフは「レベルアップできている」と自信を深める。

 NDSの指揮をとった堀川隆延コーチは「ボールを前に運んでくれる選手のひとり。そこに対する期待に応えてくれた。ラグビーを楽しめたというフィードバックもあった」と評した。

 ジョセフHCは試合翌日の会見でこう、タタフについて言及してくれた。

「タイト5(フロントロー、ロック)の活躍があればこそですが、テビタは強みである力強いランニングを見せてくれました。(伸びる)可能性のある選手として見ています」

 6月19日夜、タタフの、主力組による日本代表の宮崎合宿への追加招集が決まった。HCの言葉どおり、無限の可能性を示してくれた。本人に「欲」が出てきたのは間違いないだろう。

 6月25日は、主力組編成の日本代表が福岡・北九州でウルグアイと再戦する。その後は、欧州王者のフランス代表と2戦がある。

 18日の試合後、「もし主力組に呼ばれたら」と聞かれると、成長株はこう、言いきった。

「もっとレベルアップして、自分から強みを出していきたい」

 日々努力、日々成長。来年のW杯フランス大会に向け、タタフが爆走する。

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