元オールブラックスも絶賛するラグビー日本代表の"ヤングジャイアント"。身長202cm、20歳のディアンズが世界に挑む

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

元オールブラックスも大絶賛

 高校時代より身長は1cm、体重は8kgほど増えたという。ディアンズは「最初は不安があったが、シーズンを通して目の前の試合に集中し、たくさん学べた。若いからどうかなと思われるけど、フィジカルは強くなった」と胸を張る。

 今季、2試合の出場停止処分を受けたが、これは激しいタックルによるもの。もしこの処分がなければ新人賞の対象になっており、WTB(ウィング)根塚洸雅(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)に替わってディアンズが受賞した可能性も十分にあったほどのインパクトだった。

 その強烈なインパクトを残したディアンズのプレーについて、オールブラックス経験者たちは手放しで賞賛の言葉を送る。

「本当に非凡なヤングジャイアントです。日本代表は彼をチームに加えることができて幸運ですよ」(ライアン・クロッティ/スピアーズCTB)

「試合ごとによくなっていった。日本ラグビーのスターになりつつある。ニュージーランドの同じ歳の選手と比べても並外れている。(ニュージーランドに)送り返したほうがよかったかな(苦笑)」(トッド・ブラックアダー/ブレイブルーパスHC)

 ブレイブルーパスでメンター的存在のリーチも、ディアンズの成長に目を細める。

「前は本当にボーイ(少年)だったけど、今は耳がやっと湧いて(餃子耳となって)いい感じ。大人になった」

 しかし、ディアンズ本人はいたって謙虚だ。自身の課題について聞くと、「ボールキャリーもタックルも、もっとうまくやれる。ラインアウト、スクラムもまだまだ」と、前向きな姿勢を崩さない。

 趣味は「ラグビーを見ること」。小さい頃から憧れているオールブラックスのブロディ・レタリック、南アフリカ代表エベン・エツベス、イングランド代表マロ・イトジェなど、世界的スター選手のプレー動画をYouTubeでチェックし、それをマネる日々だという。

「世界一のLOになる」「ワールドカップに出ることは、ずっと子どもの頃からの夢」

 しかしまだ、桜のジャージーを着てプレーした時間はたった5分。

「ワールドカップのことは、今はあまり考えていない。(今夏の)テストマッチに出て、いいパフォーマンスをすることにフォーカスしている。高い身長を活かしてラインアウト、空中戦で勝って、フィジカルでも勝ちたい!」

 今夏、国際レベルでも十二分にプレーできることを証明するため、日本代表の"ヤングジャイアント"が世界に挑む。

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