ラグビー明治大「4年間で一番、きつい練習をしてきた」けど完敗。最初のスクラムの反則で「消極的になる部分があった」 (2ページ目)

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu
  • photo by 齋藤龍太郎

【スクラムで反則をとられて消極的に】

 この日のゲームテーマは、今年度のチームスローガンと同じだった。『明治プライド』。昨年の大学選手権準決勝で天理大に完敗してから1年、日々の鍛錬は明大のプライドを取り戻すためにあった。

 かつて明大といえば、「重戦車FW(フォワード)」、そして「スクラム」「前へ」だった。だが、今年度は例年に比べFWのパワー不足は否めない。だから、バックスの展開力を強化し、「クイック・テンポ」を重視してきた。

 もっとも、スタイルは変われど、明大のプライドの象徴はやはりスクラムである。

 前半9分頃のファーストスクラムは、敵陣中盤の帝京ボールだった。ガツンと組み込む。互いの押しが拮抗し、右回り気味に崩れた。

 レフェリーに明大のコラプシング(故意に崩す行為)の反則をとられた。田森の述懐。

「めちゃくちゃ自分たちのなかでは自分たちのやってきたことが出て、いい形で組めたと思ったんです。でも、ペナルティーをとられてしまった。あれで、どこかで自信をなくしてしまったわけじゃないですけど、ちょっと消極的になる部分があったんです」

 2本目のスクラムは、前半20分頃の自陣の22メートルラインあたりだった。明大ボール。相手のフリーキックの反則をもらった。もういっちょ、スクラムを選択した。ダイレクトフッキングで素早くボールをかき出した。

 前半30分頃の4本目のスクラムでは、アーリーエンゲージ(レフェリーの笛より早く組み込む行為)の反則(フリーキック)をとられ、相手はスクラムを選択、そのスクラムでコラプシングの反則をとられた。帝京大の右PR(プロップ)細木康太郎主将の雄たけびを間近で見る羽目に。

 傍目にはどちらのチームが崩したかわからないスクラムだったけれど、田森は小声で言った。言葉に悔しさがにじむ。

「スクラムは押しているほうが正義ですから」

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