帝京大の岩出監督が「納得していたわけではない」苦しみの3年間。「今季はかなりタフにやった」チームがV10を達成 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

「帝京大の勇姿を見て入ってくれた選手たちは、僕が思うより(昨年まで)敗戦している時に悔しさを感じていた。それを晴らしたいという気持ちが細木にあって、言葉に飾りがない分、純粋なエネルギーを感じ、そのエネルギーがチームを鼓舞している」(岩出監督)

 帝京大は今季、原点に立ち返った。かつて強みにしていた接点の部分を、春先からあらためて鍛えたという。

「過去3年間(優勝できず)負けていたところは、指導者として納得していたわけではない。だから、今季はかなりタフにやった。結果、コンタクトそのものだけでなく、心理的に最後まで踏ん張る力も成長した」(岩出監督)

 5月、春シーズンが開幕すると、帝京大は無敗で駆け抜けた。

 春季大会Bリーグでは、他大学を圧倒して3連勝。リーグ戦の雄・東海大、そして4年間負け続けていた明治大にも勝利した。特に明治大戦は、公式戦ではない招待試合だったが選手全員を帯同させる徹底ぶりで、細木キャプテンは試合後「この仲間とラグビーができてうれしかった!」と涙を流していたほどだった。

「僕もFWのみんなも、コンタクトが好きになっている。ブレイクダウンが嫌ではなく、楽しめている。苦しいなかでも当たりにいく。逃げずにできている。チームが変わってきている」(細木)

 夏合宿では早稲田大に今季初黒星を喫したが、それがまたいいレッスンとなった。そして秋、対抗戦の開幕を迎えた。

 9月、初戦の筑波戦こそ17−7と苦戦したが、10月になると徐々に調子が上がっていった。埼玉ワイルドナイツでコーチを務めていたOB相馬朋和氏が細部にわたって指導するようになったこともプラスになった。

 11月の早稲田大戦では、元ヤマハ発動機の田村義和氏が指導するスクラムで圧倒し、29−22で勝利。続く明治大戦では、スクラムだけでなくディフェンスも機能して14−7で逃げきった。「早稲田さん、明治さんにタフにしていただき、そこを超えてきた」(岩出監督)とライバルでの勝利で自信をつけた。

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