2021.12.06

ラグビー早明戦。スクラムで圧倒されながらも、なぜ早大は3年ぶりの勝利をつかめたのか

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu
  • photo by 齋藤龍太郎

 勝負の分かれ目は、後半中盤の早大ゴール前ピンチの明大ボールのスクラムだった。点差はわずか3点。スクラムでは強力FW(フォワード)の明大に圧倒されていた。だが直前、早大はスクラムの要の右プロップを1年生の亀山昇太郎から4年生の木村陽季に代えた。これが奏功した。

 左プロップの小林ゲーム主将の述懐。

「あそこで(スクラムを)押されてしまったら、ペナルティートライだったり、トライをとられたりされてしまうので、8人全員が意思統一して、押すマインドを持ちました」

 まずセットアップだ。早大FWが結束して、ヒットした。右プロップの木村がぐっと沈んだ。ボールイン。明大が押す。それまで早大の右プロップはあおられていたのに、代わった木村はまだ元気だ。我慢した。一瞬、相手を抑え込んだ。明大は押しながらも、ボールコントロールを失った。

 ボールは明大ロックの足に当たって、早大側にこぼれ出た。早大SH(スクラムハーフ)の宮尾昌典がこれを拾って、ピンチを脱した。

 確かにスクラムは全体として圧倒された。でも、8人の結束マインドまでは崩壊しなかった。小林ゲーム主将は言った。

「自分たちが1年間、積み上げてきたセットアップのところ、8人全員が固まってヒットできた時には、そこがうまくいった。逆にうまくいかなかった時には、自分たちのセットアップのぶれであったり、8人がまとまれなかったりして、明治大学さんのプレッシャーを受けてしまいました」

 『バトル』、これがゲームテーマだった。とくに接点。1対1では、フィジカルに自信を持つ明大には負ける。ならば、明大1人に対し、早大は2人がかりで勝負する。4本の足を使って、対抗した。ポイントはレッグドライブ(足をかく)だった。「足の力」である。

 早大は昨季の大学選手権決勝において天理大にブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)で完敗した。新チームが結成されたとき、全員で決勝戦のビデオをレビューし、その改善を課題とした。上半身に頼りすぎて、下半身の力を使っていなかった。レッグドライブが足りなかった。課題を克服するため、ヤマハ発動機でも指導した1996年アトランタ五輪レスリング銅メダルの早大OB・太田拓弥さんを招請し、週2日、早朝練習に取り組んできた。

 また、先の早慶戦では後半、長田主将が交代すると、ディフェンスが乱れた。だから、この2週間、ディフェンスを整備してきた。大田尾竜彦監督は言った。

「1年間、こういう接点を目指してきました。今日に関しては、全員で補い合っていく姿が見えたことが収穫かなと思います。タックルして、立ち上がったあと、みんなで"あっちいけ"とか、"こっちいけ"とか、声を掛け合っていた。選手を誇りに思う。頼もしいなと思いました」