ラグビー日本代表はスコットランドに惜敗でリーチは「満足感はまったくない」。それでも「チームは成長できた」収穫と課題

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu
  • photo by AFP/アフロ

 試合データを見ると、ラック数は相手の79に対し、日本は90。ランメーター(ボールを持って前に走った距離)の合計は相手の511メートルに対し、日本は753メートルだった。ボール保持率が49%(スコットランド51%)とほぼ互角。アイルランド戦の37%を考えると、日本はこの日、いかにボールを持ち続けたかがわかる。

 だから、課題だったペナルティー数は9個(相手11個)に抑えた。加えて、相手の攻撃の中心選手、SOフィン・ラッセル、フルバック(FB)のスチュアート・ホッグにプレッシャーをかけ続けた。ボールを持てば、走って、つなぎ、また走った。

 SO松田の述懐。

「日本のアタックを相手は嫌がっていた。大きいFWが、ゲームが途切れる度、(ひざに)手をついているのが見えていたので、自信を持ってアタックしよう、強気でいこうとグラウンドで話し合っていました」

 たとえば、後半20分過ぎのトライの時である。まずは自陣に少し入った地点でのスクラムを8人がまとまってガシッと組み込んだ。そこから右へ展開。

 センター(CTB)中村亮土が新ルールの「50:22」(自陣から蹴ったボールが敵陣22メートル内に入りバウンドして出た場合のラインアウトは蹴った側のボールで始まるというもの)を利用し、絶妙なキックを敵ゴール前の右タッチライン外に転がした。

 そのラインアウトから、途中交代出場のフランカー、テビタ・タタフが突進し、値千金のトライをもぎとった(ゴールは不成功)。その後、SO松田がペナルティゴールを蹴り込んで、20-26の6点差に追い上げた。

 だが、結局、逆転はできなかった。2019年W杯の勝利(〇28-21)の再現はできなかった。アウェーであることも無関係ではあるまい。リーチはアウェーの難しさをこう、表現した。

「アウェーでは、相手が簡単には(心が)折れない。ほかのチームだと、心が折れてくるのが見えてくるけど、プレーでそういうのが見えてこなかった」

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