明治大、全勝逃すも再び「前へ」。試合終盤のメイジタイムで「早明戦」は勝利なるか (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 それよりも紫紺のスキッパーが悔いたのは、前半の戦い方だった。

「(自分たちから)キックを蹴って、ほとんどがディフェンスになってしまった。前半からもっと攻めるべきだったなと......。自分たちのアタックを信じて、自陣からでも明治のラグビーをするべきだった」(飯沼主将)

 11月3日の慶應義塾大戦でハイパントキックを多用する戦略がうまくいったため、この試合も前半はハイパントを蹴り、相手にプレッシャーをかけて好機を作り出そうとした。しかし28分、キック後に帝京大WTB(ウィング)白國亮大(4年)にカウンターを許してしまい、最後はフォローしたPR照内寿明(4年)にトライを献上して0−14。痛い追加点を与えてしまった。

 ただしハーフタイム中、明治大はキック戦略の修正を試みる。ボールを保持して戦うと決めたことで、後半は飯沼主将を中心にすばらしいアタックを見せるようになった。

 すると、帝京大も後手に回る流れになり、ハイタックルなどの反則を繰り返す。後半4分、明治大はラインアウトを起点にWTB石田吉平(3年)がゴールラインへと迫り、最後はPR大賀宗志(3年)がねじ込んで7−14と追い上げた。

 残り35分、明治大には十分に逆転の時間があった。飯沼主将も「相手に隙ができたら『メイジタイム』で走り勝つ。前半どんな状況になっても(後半)チャンスは転がっている」と、逆転する自信があった。

 昨年度の大学選手権・準決勝、初優勝した天理大に15−41で大敗したことが、今季の明治大のスタートだった。伝統的に武器とするFWのセットプレー、フィジカルの強化はもちろんのこと、試合終盤まで走り勝つために、春から走りに走ってきた。

 8月上旬に福島・Jビレッジで1週間の合宿を行ない、そこでの走行距離は昨年度の1.5倍にあたる35kmほどだったという。「走り勝つ」ことを今季の大きなテーマのひとつに掲げ、前半最後の10分、後半最後の20分をチーム内で「メイジタイム」と呼び、フィットネスのスイッチを一段上げる合言葉となっていた。

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