ラグビー日本代表、待望の大型若手CTBが初キャップ。前主将リーチも「楽しみ!」

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • photo by AFLO

 このポルトガル戦でゲームキャプテンを務めたCTB中村亮土(東京サンゴリアス)も「彼の強みを引き出しつつ、1週間の準備をサポートしながらやっていた。自信を持って試合に臨めていたと思うので、引き続きサポートしながらお互いにレベルアップしていきたい」と及第点を与えていた。

 身長186cm、体重100kgの恵まれた体躯を持つ中野は、3歳からラグビーを始めた。花園こそ出場できなかったが、福岡・東筑高校時代から関係者の耳目を集めてきた存在だった。高校2年生の3月、高校日本代表を飛び越えて大学生中心の「ジュニア・ジャパン」に選出。まさに若手のホープだった。

 その後、兄・裕太(釜石シーウェイブス)と同じ早稲田大学に進学。1年生からアカクロのジャージーを着て13番として出場を続けた。東京サンゴリアスでもチームメイトとなるSH(スクラムハーフ)齋藤直人らとともに、4年時には大学選手権優勝に大きく貢献した。

 ただ、日本代表初キャップまでの道のりは、決して簡単なものではなかった。

 中野は大学2年時の春、ジョセフHCの指導する代表候補選手たちが集った「NDS(ナショナルディベロップメントスコッド)キャンプ」に招集される。この合宿のメンバーからは、2019年ワールドカップに出場した選手も多かった。だが、中野はケガのために合宿中、フィットネスバイクを漕いでいた。

「チャンスがあったのに、ラグビーでアピールできなかった」

 中野はその時を振り返り、悔しそうな表情を見せた。

 大学シーズン終了後にはサンウルブズの一員としてスーパーラグビーを経験。さらに昨シーズン、ルーキーイヤーで迎えた最後のトップリーグでは、強豪サントリーのなかでSOボーデン・バレット、CTBサム・ケレヴィ、中村ら各国の代表選手とともにレギュラーを張った。本職であるアウトサイドCTB(5試合)だけでなく、WTBとしても5試合に出場。計5トライを挙げるなど、大きく成長の跡を見せた。

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