ラグビー日本代表、本気のアイルランドに完敗。高い授業料から学んだこととは? (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • photo by JRFU

「キックを使いながら、ディフェンスのところでプレッシャーをかけて、アンストラクチャー(崩れた状態)でアタックしようと話していた」

 副キャプテンのCTB(センター)中村亮土が振り返ったとおり、日本代表は相手の強い接点を避けるため、キックを使いながら鍛えてきたスピードとフィットネスで勝負に出た。

 しかし、ミスや接点での反則が重なり、なかなか自分たちの意図した攻撃ができない。すると前半4分、ガンターが中途半端に前に出た隙を突かれて、WTBジェイムズ・ロウに先制トライを許す。さらに前半8分、日本代表は敵陣に攻め込むがライリーのノックオンで好機を失うと、前半11分にはモールを起点にWTBアンドリュー・コンウェイにトライを奪われた。

 その後、SO田村優のタッチキックミス、HO(フッカー)坂手淳史のスローイングミスなど、チームを引っ張らないといけない経験豊富な選手にもミスが続出し、一方的な展開となっていく。アイルランド代表は自陣からでもキックを使わずパス主体のアタックに切り替えて2トライを追加し、前半は0−29で折り返した。

 後半、ラインアウトで劣勢だった日本代表は、ペナルティから速攻を仕掛けた。しかし、17分にWTBフィフィタが1トライを挙げるのがやっと。結局、さらに5トライを重ねられて5−60でノーサイドを迎えた。

 新たに日本代表のキャプテンに就任したFLピーター・ラブスカフニは、試合後に肩を落とした。

「アイルランド代表にプレッシャーをかけ続けられたが、残念という言葉だけでは私たちの気持ちを表現しきれない。努力を形にできなかったのが大きい」

 ジョセフHCも反省の弁をこう述べた。

「アタック、ディフェンス、セットプレー、すべてを改善しないといけない。ラインアウトスローで3回、ミスした。ノックオンなども多かった。モメンタム(勢い)を作っていかないと、チャンスを作るのは難しくなる。モメンタムを作ればアタックできるので、その部分をしっかり修正したい」

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