「五郎丸ポーズが大ブーム」になったからこそ感じた孤独。五郎丸歩は違和感を覚えていた

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

---- 五郎丸さんは2015年W杯後、フランスやオーストラリアでもプレーしました。その経験も日本ラグビーの環境を変えるうえでプラスになりそうですか?

「海外のクラブを見られたのは非常に大きな経験ですね。世界的スター選手が多く在籍するフランスのトゥーロン、オーストラリアのレッズでは、試合が終わったあとのファンやスポンサーへのサービスがとってもしっかりしていたのが印象的でした。

 一番びっくりしたのは、フランスで1月1日の夜9時から試合を開催したことです。元日から普通に試合をやることに日本人としては不思議な感覚を覚えましたが、試合が終わったあと、夜11時くらいにグラウンドから花火を2千発くらい打ち上げたんです。芝生の上での花火なんて日本では考えられないですが、ファンは本当に満足して帰っていった。こういう世界観って作っていけると思いました。

 ファンに試合の前後も含めて満足してもらう環境は、日本のラグビー界はまだまだ遅れている。野球やサッカーといった見習うべきプロ競技もありますが、とはいえラグビーは独特な文化を持っている。その文化を継承しながら、エンタテイメントの部分も作り上げていきたいです。

 ヤマハ発動機は自分たちの(ヤマハ)スタジアム持っているので、県とか市に申請をしなくても独自でいろいろできるメリットがあります。また、プロのバスケットボールで球団社長(リンク栃木ブレックス)を経験された山谷拓志氏も社長として招いたので、これから本当に楽しみです」

---- 引退後は指導者ではなく、マネジメント側から日本ラグビーを発展させるビジョンですね。

「将来は球団社長という地位も目指していきたい。初めはコツコツとチケット販売からやっていくつもりですが、個人としての活動も認めてもらっているので、さまざまな場所で広報活動をして情報発信できる人間でもありたいです。

 静岡県にもラグビー文化が徐々に根づいてきて、エコパ・スタジアムをラグビーの聖地にしようという声もあがっています。2019年W杯のアイルランド代表戦(大金星をあげた「エコパの歓喜」)で勝てた成果のひとつです。それらの影響力を感じた時、引退後は新クラブのマネジメントサイドに立って、評価する人間ではなく、評価される人間でありたいという思いが強くなりました」

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