ラグビー日本代表戦で「あ・うん」の逆転トライを演出。新戦力のSH齋藤直人が魅せた (3ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 実は、神奈川・桐蔭学園高校時代から、「ラグビーノート」をつけている。練習や試合のなかでの気づきや反省を書き、いくつかの観点から、自分のやるべきことを整理し、メモしていく。そのノートはもう、何冊になっただろう。感じ、考え、行動する。ノートも、「準備」の一環である。

 齋藤は試合後、「自分のやるべきことを意識して臨んだので」と胸を張った。

「緊張しましたけど、通常通りのプレーができたのかなと思います」

 もっとも、まだ試合後半からの30分間デビューだった。先発だと、相手の圧力も厳しさも違ってくる。今月中旬からの欧州遠征では、全英&アイルランド代表ライオンズ戦などが待つ。今回の日本代表には、2019年W杯代表のSH流、田中史朗が不在。チャンスだ。

 質問がライオンズ戦に触れられると、齋藤はまたも準備を口にした。

「前半、チームが苦しい時に自分が出ていたらどういうコントロールができたのか。実際、自分が経験していないのでわからないですけど、そういったことも想定しながら、準備をしていきたいなと思います」

 目標を達成する鉄則は、その目標につながる目の前の小さなターゲットを確実に実現していくことだろう。そういえば、強化合宿中のオンライン会見では、「2023年(W杯)は必ず、出場したい」と言っていた。

「前回大会(W杯)よりは、目標に近づいている。この欧州ツアーを経て、自分が、2023年までどういうふうに成長しないといけないか、しっかりプラニングしたい」

 まだまだ成長途上。でも、その道程は見えてきた。高みを目指す若者の向上心に触れると、ワクワクするではないか。

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