7人制ラグビー女子代表主将はデュアルキャリア「全世界の30代に希望を」 (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Hiroyuki Nagaoka/AFLO

 リオで勝てなかったのは、フィジカルやスキルの差もあったが、国内の女子ラグビー選手数の少なさ、経験不足が如実に出たことも大きい。日本の女子ラグビーの環境はまだまだで、中村いわく「男子に混じってプレーしている女子選手が多い」という状況だ。そのため、途中でやめていくことも多い。

「そういう選手たちの受け皿になれればと思っています」

 それにしても、なぜ福岡だったのか。中村は生まれも育ちも神奈川だ。

「神奈川にも女子選手はいるんですけど、福岡のほうが多く、しかも日本代表の選手がいるのがひとつの理由です。もともと福岡は高校でラグビーの授業があるほど盛んですし、九州では宮崎にも選手が多いんです。その子たちが本気でラグビーをやりたいと思った時、福岡ならわざわざ関東に行く必要がなくなりますし、続けることへのハードルも低くなります」

 中村はゼネラルマネージャー(GM)兼選手という難しい役割を果たしている。「思っていた10倍は大変です」と苦笑するように、選手の契約、スカウティング、スタッフの整備、スポンサーとの交渉など、仕事は多岐にわたる。

「昨年は立ち上げてすぐにコロナ禍に見舞われて......それでも今年、なんとか2年目を迎えることができました。GMをしてあらためて思ったのは、今までいろんなチームを渡り歩いてきましたが、見えてないものがたくさんあったということです。とくに、いろんな人に感謝を伝えることを忘れていたなと、今はそこをすごく大事にしています」

 チームのヘッドコーチには、リオ五輪の男子セブンズ日本代表で主将を務めた桑水流裕策(くわずる・ゆうさく)を招聘した。中村自身もコーチライセンスを持っているが、あえて選手として経験と実績のある桑水流にお願いしたところに、チームの本気度が伝わってくる。

 ナナイロプリズム福岡はラグビーをする環境が整っているが、とりわけ充実しているのがメディカルスタッフだ。どのチームもチームドクターとして最低ひとりはいるが、ナナイロプリズム福岡はチームドクター以外にヒザ、関節、肩、首、脳外科など、計13名のメディカルスタッフが名を連ねるなど、まるで総合病院のようだ。

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