桐蔭学園が花園で連覇できた理由。伝統にプラスして見せた新スタイル

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 後半終了間際、京都成章にトライを1本返されたところでノーサイドの笛が鳴り、桐蔭学園が見事に連覇を達成した。桐蔭学園の勝因は、1試合平均41、3点を奪った攻撃力だけでなく、6試合で平均7.3失点に抑えた守備力も見逃してはならないだろう。

「率直にうれしいです! 自分たちの代でもう1回単独優勝したいと思っていたので、連覇のプレッシャーは感じませんでした」

 主将として有終の美を飾った佐藤は試合後、満面の笑みを見せた。

 花園の連覇は、第89回〜第91回に3連覇を達成した東福岡(福岡)以来9校目。東日本勢としては、第73回・第74回で優勝した神奈川の相模台工業(現・神奈川総合産業)以来の快挙だった。

 新型コロナウイルスの影響で、高校ラグビーは試合のできない状況が続いた。春の選抜大会、GWの交流大会「サニックスワールドユース」、6月のブロック大会、7人制ラグビーの「アシックスカップ」、そして10月の国体と、多くの大会が中止となって試合経験を重ねることができなかった。

 神奈川予選決勝、桐蔭学園は東海大相模相手に苦戦を強いられ、19−17の辛勝で花園出場を決めた。この試合を見るかぎり、花園での連覇は厳しいのでは......と思わざるを得なかった。

 そこで藤原監督は、主力である佐藤と青木に「ふたりが目立つ試合になるとしんどくなる。今大会は意識を変えて周りを活かしてほしい」と説いたという。

 さらに花園に入ると、予選決勝では2年生を起用したハーフ団を、3年生のSH(スクラムハーフ)伊藤光希、SO(スタンドオフ)中優人に変更。3年生の榎本拓真&秋濱悠太のCTBコンビと、WTB松田怜大&FB(フルバック)矢崎由高の1年生コンビの起用もピタリとハマった。

 結果、桐蔭学園は試合を重ねるごとに調子を上げていき、そのまま頂点に立った。佐藤主将は「花園期間中に成長し続けることができました。3年生のBKが(チームを)まとめてくれた」と感謝した。

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