明治大、敗れるもブレずに「前へ」。箸本主将は威風堂々「やり切れた」 (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

「ひと言で言うと、完敗です。天理大さんがすべてにおいて強かった」

 明治大の田中澄憲監督が肩を落としたように、2シーズン前のリベンジ、そして初の大学選手権優勝に燃える天理大の波に飲まれての敗戦となった。

 ただ、母校に関わって4年目の田中監督は、選手たちへの労いの言葉を続ける。

「試合は決まっていたかもしれないが、明治大も最後にスクラム、モールと、自分たちがやってきたことにチャレンジしてくれたことを誇りに思います。今季はいろんな大変な状況のなか、よくがんばってくれた。学生たちには今季のような経験をこれからどう活かしてくれるか期待したい」

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 ケガを抱えた副将SO山沢京平(4年)に替わり、本来の12番ではなく10番を背負ったBKリーダーの森勇登(4年)は、「悔しいという気持ちが一番強い。ただ、最後まで自分のプレーはしっかり出し切れたと思うので、そこには悔いはない」とキッパリと言った。

 キャプテンの箸本も「最後まで戦う姿勢をやり切れた」と語る。その一方で、キャプテンとしてチームを優勝に導くことができず、「リーダーとして自分がもっともっと詰められる部分、もっともっと引っ張れる部分(があったかもしれない)。まだまだ自分の未熟さを感じています」と悔しさも述べた。

 明治大は4シーズン連続となる決勝進出こそ逃したものの、2016年度の大学選手権では初戦敗退(3回戦)だった。その悔しさをバネに、田中監督の入閣後、箸本ら今の4年生が明治に入学した2017年から徐々に上昇曲線を描いていった。チームに「勝つ文化」や自分たちで考えて行動する「主体性」が定着しつつあることも、また確かだ。

 今シーズンは多くの1年生がデビューし、準決勝のメンバーは23人中15人が3年生以下だった。来シーズンは今大会での経験や敗戦の悔しさを糧に、より進化した紫紺の軍団の勇姿を目にすることができるはずだ。

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