明大FW箸本は大学ラグビー界の超逸材。「打倒・早稲田」へ大一番に臨む (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 大学進学時は、早稲田大とどちらを選ぶか悩んだという。しかし、「伝統的にFWが強いチームに行ったほうが成長する」と藤田監督のアドバイスも受けて、明治大に入学する。

「滝澤(佳之)FWコーチを中心に、最初はLO(ロック)としてスクラムやブレイクダウンといったFWの基本的なところをゼロから学ばせてもらいました。明治大に入学して本当によかった」

 結果、大学1年から明治大の中心選手として活躍。ジュニアジャパンやU20日本代表といったユース世代の代表も経験した。

 そして2019年のワールドカップ。日本代表が史上初のベスト8進出を決めたスコットランド代表戦を箸本はスタジアムで生観戦した時、「あらためて、日本代表になって応援されるのっていいな、あの大観衆でプレーしたい、次のワールドカップは自分も出たい」との思いを強くしたという。

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 そんな矢先、今年1月に箸本はスーパーラグビーのサンウルブズに練習生として招集された。当時早稲田大4年のSH(スクラムハーフ)齋藤直人(現サントリー)や天理大のCTBシオサイア・フィフィタがスーパーラグビーを経験するなか、箸本が試合に出ることは叶わなかったが、サンウルブズでの経験は大きかったという。

「自分に足りないところが明確になりました。外国人相手には少しでも上体が高いと持ち上げられるなど、厳しさを学んだ。今、自分が通用しているのは日本の大学生レベル。もっと身体を強くして、スキルも磨いていかないといけない」

 大学ラグビー生活も残り1カ月半ほど。対抗戦での早明戦、そして最後の大学選手権と、勝負の時が迫っている。箸本はまっすぐ前を見据えて、こう語った。

「勝敗に関係なく、後悔したくない。自分たちの代が終わった時、本当にひとりひとりがこの学年でよかった、明治で過ごせてよかったと思えるようにしたい」

 紫紺のジャージーをまとった「8番」が目立つ展開になれば、今年度こそ明治大が新国立競技場でカップを掲げる姿を見ることができるはずだ。

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