「今年の明治は若い」。不安な立ち上がりも明大が帝京大に逆転勝ちした理由 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 前半はリードを許しつつも、明治大は最初からスクラムにこだわっていた。

 前半7分と前半9分、相手の反則後に定石ではPGを狙うところも、あえてスクラムを選択。得点に結びつくことはなかったが、力強いスクラムで相手FW陣の体力を奪ったのは間違いない。帝京大のペナルティ数が14個と多くなったのも(明治大は4個)スクラムで体力を削られた影響はあるだろう。

 明治大のFW第一列を託された選手たちは、練習以外にもプライベートの時間で集まってスクラムについて話し合ってきたという。スクラムの最後方から見ていた箸本キャプテンも「前半を通していろんなチャレンジをしながら、いいスクラムを組んでいた。後半は(FWの最前列の)1番から3番が自信を持っていたので『いける!』と確信した」と振り返った。

 そのFWの強さは数字に表れている。マイボールスクラムは7分の7、マイボールラインアウトは14分の14。ともに100%の成功率を記録した。

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 大学ラグビーは今年、コロナ禍の影響でどのチームも実戦経験を積むことができていない。そんな状況において、田中監督は「今年の明治大は若い」ということを何度も強調していた。

 それもそのはず、今年のFW陣で昨年度主力の選手はキャプテン箸本、副キャプテンLO(ロック)片倉康瑛、FL(フランカー)繁松哲大の3人のみ(いずれも今年4年生)。とくにFW第1列は3人とも昨年度4年生だったため、今シーズンは総入れ替えになった。帝京大戦のFW第1列は、左PR中村公星(2年)、右PR村上(3年)、HO田森海音(3年)という布陣。

 また、FW陣と同じくBK陣も若く、後方をまとめる副キャプテンのSO(スタンドオフ)山沢京平(4年)はケガの影響で今季ほぼ絶望。帝京大戦では12番にCTB(センター)廣瀬雄也(1年)を初先発させ、齊藤誉哉(2年)も途中から起用していた。

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