五輪断念のラグビー福岡堅樹が、「実録マンガ」に登場したわけを語る (4ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 松田崇範●撮影 photo by Matsuda Takanori


 3月24日には東京五輪の延期が発表。4月7日からは緊急事態宣言が発令され、日本中からスポーツの火が消え去る非常事態に陥ってしまう。

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 福岡はこの時期に、もう一度将来を見つめ直していた。

 もともと、福岡は東京五輪のラグビーのセブンズに出場した後、医学の道に進もうと考えていた。だが、その東京五輪が延期になるということで、自分自身の優先順位を、セブンズでのメダル獲得から医学部合格にシフトすることにした。

「僕は起きてしまったことを悔やむことはあまりないんです。すぐに切り替えて生きていく人生をこれまで送ってきたので。自分が今置かれた状況の中でどうすればいいのかだけに集中できれば、おのずと結果は出てくると思っています」

 6月14日、ついに福岡はリモート記者会見で、セブンズ日本代表からの引退と医学の道に進むことを正式に発表する。

「スッキリしました。決めてはいたんですが、やはり、なかなか言えないことだったので。それをキリがいいところで伝えることができたんで、自分の意思を表明できたんで、あとはそれに向かってやっていくだけなんで」

 とはいえ、五輪を断念したものの、福岡はまだ現役のラガーマン。これからも何らかの形で、多少なりともラグビー界、日本のスポーツ界に貢献していきたいと思っているのもまた事実だ。

 増刊ヤングジャンプスポーツの発売日は8月17日に決まった。東京五輪に選手として出場することはなくなったが、企画をボツにするのではなく、福岡は自身の実録マンガを掲載してもらうことで、ラグビーの熱を伝えていきたいと考えた。

「今、新型コロナウイルスの影響もあって、どうしても試合ができない状況なので、ラグビーの試合を見たいと思ってくれている人たちも試合が見られない状況が続いています。少しでもその気持ちが前向きになれるように、このマンガが次の試合が始まる時までつながるきっかけになるとうれしいですね」

 増刊ヤングジャンプスポーツに掲載される『闘球「元」日本代表─福岡堅樹物語─』には、そうした福岡のラグビーに対する熱い想いが詰まっている。

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