廣瀬俊朗がラグビー選手へ提言。「今はインプットのチャンス」

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

――トップリーグ、日本選手権、ラグビー界も試合はほとんど中止となりました。せっかく昨年のラグビーワールドカップで盛り上がったところなのに...。

「残念であるのは間違いないですけど、こればっかりはね、どうしようもないことです。こっから、どう巻き返すかというところが大事かなと思います。やっぱり"ラグビーロス"の人が多いので、そういった人たちをどうつなぎとめることができるか、でしょう」

――何かアイデアは?

「自分もユーチューブを始めました。いまはオンラインによる発信がいっぱいあるので、選手たち中心にそういうのを使って発信してほしいなと思います。具体的に? 僕はスクラム・ユニゾンの話やノーサイド・ゲームの話、あとはまあ、スポーツの周りで働いている人たちを紹介していきたいな、と思っています。この間はコーチのコーチ人を紹介しました」

――ツイッターもしていますよね。確か、この間、トップリーグが最初に3週間程、休止になった際、抗議のツイートをしていましたよね。リーグが「薬物問題を受けてのトップリーグ休止発表」に対し、「新型コロナの影響とし、その期間に薬物問題の教育を徹底すると説明すべき」と。正論でした。

「ほんとうはコロナの影響があったわけです。なのに、それを薬物だけの影響で休止と言ってしまったところが...。ラグビー選手がふだん大事にしている正義や規律を考えると、ふさわしくないと思ったのです。だから、言わせてもらいました」

――そのトップリーグの中止の影響は。

「もう、どうこうできる感じじゃないと思うので。中止となってしまって、来シーズンに向けていま、休憩も必要でしょう。一回、休んで、次に備えることがメインかなとは思います。あとは、"きっと"ですけど、自分の人生を考えたり、将来は何をやろうかとか、内側に向けて、いろいろと考えたりするには、いい時間かなと思います。また、ラグビーができなくなっている今だからこそ、ファンあっての自分たちだと感謝するようなことも考える時かなと」

――なるほど。現役引退後の人生設計の検討もあり、ですね。

「いま、ラグビーがなくなっているわけです。選手にはいつか、そういう時がくるので、いま考えてみてもいいのじゃないでしょうか」

――たぶん、若い選手とベテラン選手はやるべきことが違うでしょう。もし、廣瀬さんが若い選手だったら、どうしているでしょうか。

「勉強していると思います。本を読んだり、いろいろとやったりしているんじゃないですか。インプットのチャンスです。インプットをメインとし、いま自分はどういうことができるのか、あるいはこういう時だからこそ規律を保とうとか。そうすれば、多少、アウトプットにもつながるでしょう」

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