稲垣啓太vs姫野和樹。ラグビートップリーグでも「ガッキー」は笑わない (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji


 後半早々、パナソニックにトライを許したものの、トヨタ自動車は後半14分、ルルーの裏へのキックをWTB小原政佑が拾ってインゴール。再び6点ものリードを確保した。

 だが、残り25分頃からパナソニックに流れが傾く。トヨタ自動車にとって痛かったのは、ニュージーランド代表でキャプテンを務めていたNo.8(ナンバーエイト)キアラン・リードが前半で負傷交代したことだ。選手たちに疲れが見えてくると、パナソニックの圧力の前に反則を繰り返すようになった。

 また、パナソニックの選手層の厚さも、後半になって盛り返せた要因のひとつだろう。

 主将のHO(フッカー)坂手淳史が「リザーブの選手がすばらしい仕事をしてくれたので、相手との差をつけられた」と誇ったように、HO堀江翔太やSO(スタンドオフ)松田力也の日本代表、さらにはオーストラリア代表FLデービット・ポーコックが後半から入ってチームに勢いを与えたことも大きかった。

 パナソニックは後半22分、31分と連続してトライを挙げて28−20と逆転。トヨタ自動車も意地を見せて姫野が自陣ゴール前でジャッカルを成功させたが、後半37分にパナソニックの「韋駄天」福岡にインターセプトからトライを許してしまい勝負あり。

 その後、ラストプレーでもパナソニックはトライを挙げて、終わってみれば計6トライ。スコアも40ー20で3トライ以上差となるボーナスポイントも加え、勝ち点10で首位に立った。一方、トヨタ自動車は開幕節のヤマハ発動機ジュビロ戦に続き、苦しい連敗スタートとなってしまった。

「ボーナスポイントを取って勝てたのが、今日一番の成果。たくさんのお客様が来てくれて、そのなかでパナソニックのラグビーを見せられた」

 試合後、稲垣は決して笑顔を見せることなく話し、こう続けた。

「(日本代表との違いについて)あえて変えないようにしている。今までやってきたことをやるだけ。準備から高いレベルでやることを代表で経験したが、とくに(パナソニックでも)変えたりはしていない。

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