桐蔭学園が無敗で3冠達成。
「西高東低」の高校ラグビーに風穴開ける

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji



 とくに決勝戦の内容は、圧巻だった。序盤に2トライを先制されたものの、前半途中からモールを止め、さらにはラインアウトやスクラムでプレッシャーをかけ、マイボールキックオフのボールも確保。そして後半は継続してトライを取り切り、キックもうまく使って戦い、最後はDGでとどめを刺した。

 一番疲れているはずの決勝の後半で、あのすばらしいラグビーがどうしてできたのか。藤原監督に聞くと、胸を張ってこう答えた。

「全国大会で勝ち切るためには、何かひとつ欠けても勝てないですし、一辺倒のことをやっても勝てない。すべてのことを想定して、100%の準備をして最後までやり切った。今まではそれが足りなかったのかな。99%ではダメ。それがこういう結果になった」

 昨年度の花園で負けた時、先輩からはこの結果を「踏み台にしろ」と言われたという。キャッチ&パスや接点の基本スキルを徹底的に見直し、OBのトップリーガーからも指導を受けた。また、帝京大や東海大といった強豪大学にも稽古に出向き、強度の高い練習を行なった。

 キャプテンの伊藤が優勝を振り返る。

「最高です。最初に思い浮かべたのは、藤原先生への感謝の気持ちでした。過去2年間、目指しながらも取れなかった(花園優勝の)タイトルなので(初めて)取れてよかった。

 松島幸太朗さんの45期が(東福岡との)同校優勝。前日にコーチから『そろそろ決着つけよう』と言われた。それが成し遂げられてよかった」

 ノーサイド直後、目を赤くしてしばらく下を向いていた藤原監督もこう語る。

「すばらしい景色ですね。勝って生徒を迎えられるのは、監督冥利に尽きます。花園に来てから長い間、単独優勝に届かなかったので、いろんなことが走馬燈のようによみがえってきました。

 素直にうれしい。(単独優勝までかかった時間が)ちょっと長かったなという気持ちもありますし、もしかしたら2度と優勝は転がりこんでこないかと思っていましたが、花園の神様がうちに微笑んでくれました」

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