桐蔭学園が無敗で3冠達成。「西高東低」の高校ラグビーに風穴開ける (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji



 キックオフではマイボールを浅めに蹴り、身長190cmのLO(ロック)安達航洋(3年)がボールを確保。キャプテン伊藤、副キャプテンPR(プロップ)床田淳貴(3年)、LO青木恵斗(2年)、No.8(ナンバーエイト)佐藤健次(2年)を中心に、ランで前に出続けた。そして後半6分、桐蔭学園は18次攻撃の末に青木がねじ込んで10−14とし、4点差に追い上げる。

 さらには後半16分、伊藤が相手のキックをキャッチしたあと、カウンターを仕掛けて一気にゲインする。そして最後はFB(フルバック)秋濱悠太(2年)につないでトライを挙げて、15−14と逆転に成功。「準々決勝でも準決勝でも劣勢にならなかったので(ランを)見せる必要はなかったが、劣勢になったら走ろうと思った」。伊藤は決勝の舞台で、温存していたランから好機を演出した。

 さらに後半23分、桐蔭学園は再び「伝統の継続ラグビー」を披露する。18回もボールをリサイクルし、最後は青木のオフロードパスを受けたWTB西川賢哉(3年)がトライ。20−14とリードを広げた。その後、伊藤がDG(ドロップゴール)を決めて3点を追加。結果、23−14でノーサイドとなった。

 一昨年度は準決勝で大阪桐蔭に5点差、昨年度は決勝で同じく大阪桐蔭に2点差で敗れた。だが、今年度はしっかりと勝利を取り切った。9年ぶり2回目、単独では初となる高校王座をついに獲得。藤原監督は試合後、「(継続ラグビーは)うちでずっとやってきた。先輩が取り切れなかったことを突破してくれた」と破顔した。

 桐蔭学園の花園での戦いは見事だった。初陣となった2回戦では九州の実力校・長崎北陽台(長崎)を38−7で下し、初勝利で勢いに乗る浦和(埼玉)も78−5で撃破。準々決勝は前年度の覇者・大阪桐蔭(大阪第1)に31−12、準決勝は優勝6回を誇る東福岡(福岡)に34−7、そして決勝の御所実業は23−14。強豪の揃うなか、中2日のスケジュールでも遺憾なく力を発揮した。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る