受験モード突入の浦和高校ラグビー部が、桐蔭学園に完敗して得たもの (2ページ目)

  • 門脇 正法●取材・文 text by Kadowaki Masanori photo by Sportiva


 とはいえ、浦高ラグビー部にとって桐蔭学園を相手に上げた1トライの5点は、これまで自分たちがやってきた「一流の文武両道」が、改めて間違いではなかったことを証明するには十分なものだった。

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「ウチは初心者が多いんで、ベーシックなプレーを徹底的にやってきましたが、桐蔭学園さんはそれ以上にシンプルで、ミスをしない、速いサポートに、必ず2人でタックルするディフェンスなどが徹底していて、すべてにおいて強かったです」

 まったく隙がない桐蔭学園に、浦高の三宅邦隆監督は「自分たちのラグビーをぶつけていこう」と選手たちを送り出したが、前半は何もいいところなく終わってしまう。ハーフタイムに三宅監督は、「暗いぞ! もっと笑ってやってこいよ」と、もう一度、選手たちに声を掛けた。それが功を奏したのか、後半では随所に浦高らしい、いいプレーが見られるようになってきた。

「モールで押して奪ったトライは、『チャンスがあれば、モールでいこう』と話し合っていたプレー。トライしたのは松永でしたが、あれは全員で奪ったトライなんですよ。モールは通用したので、そこはまた自信にはなったのかなと思います」

 試合後、自身も浦高ラグビー部のOBである三宅監督は、ここまで来られたことを振り返りながら目頭を熱くしていた。

浦高ラグビー部の新たな歴史をつくった花園メンバーたち浦高ラグビー部の新たな歴史をつくった花園メンバーたち
 しばらくして、花園ラグビー場のスタジアム正面に、試合を終えた選手たちが集まり始め、待っていたラグビー部OBや父兄、浦高の先生や大応援団から、「おつかれさま!」「よくやった!」「ありがとう!」という声が選手たちに掛けられた。

 その中に、スタンドオフとしてゲームをコントロールし、2回戦の青森山田戦では、5本のコンバージョンキックのうち4本を決め、浦高の勝利に貢献した目黒晃平(3年)がいた。

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