W杯後「ラグビーロス」の方、必見。高校生の最後の戦いが胸を打つ (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji



 ラグビーはFWで相手に劣ると勝つことが難しく、番狂わせの起きにくい競技である。ただ、ノーシード校がシード校を破る「シードバック」という波乱は毎年1、2回ほど起きている。

 国体で大阪府代表を下した石見智翠館(島根)、九州大会ベスト4の長崎北陽台(長崎)、優勝経験のある茗渓学園(茨城)など、今大会は名のある強豪校がシードから外れた。そのなかでも注目したいのは、春の選抜大会でベスト8になった関西学院を下して花園に出場する報徳学園(兵庫)だ。

 FW陣が大きいだけでなく、BKには昨年度2年生ながら高校日本代表にも選ばれた主将のFB山田響(3年)と、身長180cmの大型SH金築達也(3年)が引っ張る。過去ベスト8以上に6度も食い込んだ名門が今大会、ノーシードから旋風を巻き起こすか。

 今大会に参加する51校のうち、初出場は2校。青森山田(青森)はトンガ人留学生の活躍もあり、予選決勝で県大会8連覇中の青森北を下した。また、大分東明(大分)もフィジー人留学生が躍動し、優勝経験もある大分舞鶴の34連覇を阻止して初出場となった。

 また今大会には、文武両道を貫く進学校も出場する。東大進学校としてトップクラスの成績を誇る浦和(埼玉)、昨年度の主将が花園に出場しながら一橋大に現役合格した本郷(東京第2)、山口県屈指の進学校である山口、そして歴史ある名門の名護(沖縄)だ。

「花園から世界へ」

 そのスローガン通り、多くの選手が花園から世界へと羽ばたいていった。

 今回のワールドカップメンバーでは、FLリーチ マイケル(札幌山の手)を筆頭に、PR稲垣啓太(新潟工業)、No.8姫野和樹(中部大春日丘)、SO田村優(國學院栃木)など。リオ五輪に出場したメンバーでは、桑水流裕策(くわずる・ゆうさく/鹿児島工)や合谷和弘(ごうや・かずひろ/流通経済大柏)らが花園で育った。将来、世界の舞台で活躍しそうな原石を探しながら見るのも楽しいだろう。

 花園は「負けたら終わり」のトーナメント方式。高校生ラガーマンの今季最後の戦いは、見ている者の心をきっと打つはずだ。ラグビーワールドカップで「ラグビーロス」になった方にも、ぜひ見てほしい。

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