W杯後「ラグビーロス」の方、必見。高校生の最後の戦いが胸を打つ (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji



 だが、今大会の予選決勝で大阪朝高を66−5で一蹴したように、実力はAシードと変わらない。FWの推進力だけでなく、BKにもスキルの高いSO嘉納一千(いっせん/3年)とランに長けたFB(フルバック)芦塚仁(3年)を擁しており、地元の声援を背に勝ち上がってくるだろう。

 残るAシードの2校も、もちろん優勝候補の一角だ。

 近畿大会王者の京都成章は、「ピラニアタックル」と呼ばれる激しい守備が武器。しかも今年のチームには、LO山本嶺二郎(3年)、LO岡大翔(ひろと/3年)、LO本橋拓馬(2年)と、3人も190cmオーバーの選手がいる。主将のPR西野拓真(3年)とNo.8村田陣悟(3年)も185cmを超えており、モールに絶対的な強みを持つ。守備と超高校級FWで初の栄冠を狙う。

 一方、奈良の「黒衣軍団」御所実業は、春の選抜大会で準優勝したチーム。県内のライバル天理を予選決勝で22−10と下した実力は本物だ。主将のFB石岡玲英(れい/3年)、CTB(センター)谷中廉(3年)、PR島田彪雅(ひゅうが/3年)を中心に伝統の守備とラックからモールを作る「リモール」は強力だ。全国準優勝は過去5回。「シルバーコレクター」の名を返上し、公立高の希望の星となれるか。

 また、この10年間、高校ラグビー界を引っ張ってきた2校の存在も忘れてはならない。

 まずは、7度目の優勝に挑む九州王者・東福岡。CTB廣瀬雄也(3年)、WTB志氣陸王(しき・りくお/3年)、WTB高本とむ(3年)を中心に、グラウンドを広く動かすラグビーが信条だ。また、PR小西優治(3年)を生かしたモールも強い。春の選抜大会では桐蔭学園に21−67で負けたが、それを糧に成長した姿を見せてくれるだろう。

 そしてもう1枚が、5度の優勝を誇る東海大大阪仰星だ。一昨年度は優勝したが、昨年度は出場できなかった。中高一貫体制で強化し、ラグビーを理詰めで考える湯浅大智監督のもと、主将のSH(スクラフハーフ)松井翔(3年)、SO谷口宜顕(よしあき/3年)、HO安部薫平(3年)たちが昨年の悔しさをバネに挑む。

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