2019.12.22

松島幸太朗も果たせなかった夢。
桐蔭学園、初の花園単独優勝なるか

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 試合前日にそう感じた伊藤は、選手たち全員のミーティングで2時間ほどかけて話し合った。その結果、FWとBKが一体となったアタックで67-21と大勝することができ、伊藤はキャプテンとしてもSOとしても「大きな自信になった」と振り返る。

 2000年代に入って、花園での準優勝は計5度。2010年度には両校優勝したものの、桐蔭学園はいまだ単独優勝に手が届いていない。

「花園に入ってから技術はもう伸びないし、体力も減っていくだけ。花園に行く前に『優勝する』という自信を持っていかないといけない。一昨年度(3位)、昨年度(準優勝)のチームはそういう気持ちを持っていなかった」(伊藤)

 桐蔭学園は花園開幕が迫った12月、大学選手権に出場している強豪大学2校に出稽古に行き、強度の高い練習を重ねたという。

 今年度の桐蔭学園の武器は、例年より強力になったFW陣だ。スクラムを引っ張るPR(プロップ)床田淳貴(3年)、ラインアウトに強いLO(ロック)安達航洋(3年)、パワフルなボールキャリアを見せるLO青木恵斗(2)、U17日本代表主将のNo.8(ナンバーエイト)佐藤健次(2年)など、大会屈指の選手層を誇っている。

 それらを前面に押し出しながら、パスをつなぐ伝統の継続ラグビーで攻めるのか、それともキックを絡めつつセットプレーでトライを狙うのか。すべては伊藤の判断がカギを握っている。

「継続ラグビーが最終的な強みになると思いますが、今年のチームはFWとBKのバランスが取れているので、キックを蹴るところはしっかりと蹴る。そしてFWがスペースを作ってくれれば、BKでそこを縦に突く。そこの指揮者が僕だと思っています。どのチームも完璧なディフェンスはないと思うので、毎試合5本、トライを獲れば優勝できると思います」

 今年度のスローガンは、3年生みんなで決めた「一心」だ。練習でも、試合でも、心をひとつにワンプレーに心を込めるという意味だ。

 あの松島先輩も成し得なかった単独優勝へ――。司令塔・伊藤が「東の横綱」を頂点に導く。

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