浦和高校ラグビー部が花園へ。「一流の文武両道」で初勝利と受験に挑む (4ページ目)

  • 門脇 正法●取材・文 text by Kadowaki Masanori
  • 門脇 そら●撮影 photo by Kadowaki Sora


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「自分は幼稚園でラグビーを始めて、小中学校とラグビーをして、浦高でラグビーを続けたいと思って入学したんですけど、入ってみたらラグビー初心者ばかりでビックリしました。でも、それ以上に、その初心者がここまで成長できるということにも、今はビックリしています」

 松永キャプテンが言う通り、事実、浦高ラグビー部員51名のうち、ラグビー経験者は3名だけ。

 そんなラグビー初心者の普通の公立高校の生徒が、3年間で県予選を勝ち上がり、花園の大舞台に立つほどに成長してしまう。これは、三宅先生の考えがラグビー部員たちに理解され、その想いが全員に伝わっている、まさに証(あかし)ということになるのではないだろうか。

「それと、三宅先生には『一流の文武両道になれ!』とも言われてるんです」

 そのきっかけは今年の春、浦高ラグビー部が全国選抜に出場した時のこと。ウェブにアップされた浦高についての記事に、「部活動で全国に行っても負けるだけ。勉強も浪人ばかりで現役で大学に行くヤツはいない。浦高の文武両道は二流」という、心無いコメントが書き込まれたことがあった。

 これに対し、三宅先生が「だったら、文武両道でも一流を目指そうよ! 部活を一生懸命やるのと同じぐらい、勉強も同じぐらい全力でやる。それをラグビー部でやってやろうじゃないか!」と、部員たちを前に話をしてくれたそうだ。

「だから、自分たちは花園に行ったからって、勉強はいいやって考えにはならないようにしようと思ってるんです。花園でもいつも通りにやろうって。いつも通り、みんなで勉強もしてきたいと思ってます。センター試験も控えていますし、みんな現役での大学合格も目指していますんで!」

松永キャプテンはラグビーも勉強も花園で全力を尽くす松永キャプテンはラグビーも勉強も花園で全力を尽くす
 そして、いつも通りの生活をする中で、花園での初勝利を手にしたいと松永キャプテンは、最後に力強く語ってくれた。

「今年のチームは浦高伝統のディフェンスだけでなく、そこにアタックを重視した練習を、この1年間積み重ねてきました。その成果を花園で出して、攻めて点を取って、勝ちにいきたいと思っています」

 浦高ラグビー部の花園でのキックオフは、12月27日の12時30分。

 開会式直後の第1グラウンドで、浦高の「一流の文武両道」が試されようとしている。

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