帝京大、あっけない黄金時代の終焉。
監督&選手も認めた「甘さ」とは

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

「今年の4年生は経験値が少なく、厳しいところを体験していない。連覇の苦しみというか、先輩たちの汗や悔しさを、まだこの選手たちは感じていなかった。今年の4年生の育て方を間違ったかな......。自分の指導、下級生の甘さを感じていました。簡単に勝てない。現実を直視しています」(岩出監督)

 シーズン佳境の11月、岩出監督は選手たちを鼓舞するため、本来CTBである本郷主将をFLにコンバートした。ただ、その本郷主将もケガを負い、流通経済大戦に出場することは叶わなかった。

「自分が一番出たかった。(先輩たちの築いてきた)結果は重圧になったが、それを超えていくからこそ自分たちの力になるとやってきた。情けない気持ちでいっぱいです」

 スタンドから声援を送り続けた本郷は、声を振り絞るように話した。

 また、1年生から試合に出場しているエースのWTB木村朋也(3年)も、反省の弁をこう述べた。

「(昨年度までと比べて)正直言って、練習(の雰囲気)はぬるかった......。キャプテンがひとりでがんばっていたのに、どこか(本郷)泰司さん任せだった。1年生から試合に出ているので、それを還元しないといけない。『ワンチーム』になって、根底の部分で帝京大学ラグビー部をもっといいものに変えていかないといけない」

 今年は多くの若いFW陣が大舞台を経験した。それは、彼らにとって大きな財産となるだろう。BK陣は1年~2年から出場している才能豊かな選手が揃っているだけに、岩出監督も「来年は強い」と自信を持っている。

 この悔しい経験を踏まえて、来年度は再び、強い帝京大が戻ってくるはずだ。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る