明大が早大のメンタルを崩す。伝統の「前へ」で圧倒、全勝Vを決めた (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

「伝統の一戦が25年ぶりの全勝対決ということで、楽しみにしていました。そのプレッシャーに負けずに戦えたことにチームの成長を感じた。ビッグゲームでいつもどおりのプレーができたのは、昨年度のチームではできなかったこと。(大学選手権で)優勝した経験が根づいてきたからだと思います」

 試合後、2トライを挙げた武井はようやく笑顔を見せた。

 昨年度、明治大は大学選手権で優勝したものの、対抗戦は4位扱いの成績だった。春季大会でBリーグに回った明治大は圧勝で優勝を果たし、早稲田大、帝京大、慶應義塾大との練習試合でも勝利するなど、その強さは盤石だと思われた。

 しかし、夏合宿で行なった慶應義塾大との練習試合では、カウンターに対するディフェンスが甘くトライを重ねられて19-47で敗北。さらに9月のジュニア選手権では、帝京大に0-61の大敗を喫した。

「負けから学ぶことは多い」。そう考えた田中監督は、ラグビーワールドカップによる中断期間中に基本の接点やフィジカルを見つめ直したと言う。

 しっかりと課題と向き合い、少しずつ修正を重ねてきたからこそ、対抗戦の全勝優勝につながった。

 明治大の今季のターゲットはもちろん、来年1月11日に新国立競技場で行なわれる大学選手権の決勝戦で勝つことだ。

「まだまだ課題はあります」。大学選手権に向けて、田中監督は決して満足することはない。「早明戦では、メンバーを替えてからスクラムが押せていなかった。リザーブの選手たちのスクラムやラインアウトを成長させて、23人で戦えるようなチームにしていきたい」。

 明治大は4年生たちで話し合い、今年度のスローガンを「真価~HUNGRY, DETAIL, ACTION~」と定めた。明治大ラグビー部の価値を高めて、次につなげていくという意味が込められている。

 12月15日から本格的に始まる今年度の大学選手権でも、優勝候補の筆頭は明治大で間違いないだろう。それが揺るぐことはない。

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