明大が早大のメンタルを崩す。伝統の「前へ」で圧倒、全勝Vを決めた (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 この流れは、明治大の想定どおりの展開だった。「前半は確実に厳しい展開になるとわかっていましたし、自分たちのフィジカルも通用していたので(精神的には)ポジティブに感じていました」。僅差での後半突入でも、武井主将は冷静だったと言う。

 田中監督は過去の数試合を振り返り、「後半の入りが悪かった」と反省していた。それを打破すべく、明治大は後半になって一気にギアを上げる。

 後半2分、SH飯沼蓮(2年)のハイパントキックをWTB(ウィング)山﨑洋之(4年)がキャッチしてラックを形成すると、ボールキャリアとなった箸本が前に出て敵陣22メートル内に攻め込む。そして、箸本が再びボールを持って前に出ようとしたところを裏にいたSO山沢京平(3年)にパスし、最後は武井が右中間にボールを押さえた。

 FWだけでなくBKも絡み、チーム一体となったすばらしい攻撃だった。裏へのパスで好機を演出した箸本は、「前半FWで前に出たことがうまくダミーになった」と破顔する。

 このトライで、明治大は一気に主導権を奪った。そして、攻撃の手を緩めることはなかった。後半8分、明治大はスクラムでペナルティを得ると、ラインアウトからモールを押し込んで再び武井がトライ。スコアを24-7とし、大きくリードを広げることに成功する。

「後半2本のトライを獲ったあと、早稲田大のメンタルを崩していけたのが今日の勝利に影響したと思います」。武井がそう振り返ったとおり、早稲田大の選手たちはトライを奪われると、まさにがっくりと落ち込んでいた。

 後半は「ほとんど攻めた記憶がない」と早稲田大の齋藤に言わしめるほど、明治大のペースで終始展開。途中でメンバーを入れ替えても、明治大のチーム力は落ちなかった。後半20分にはラックからPR安昌豪(4年)がトライをねじ込み、ロスタイムにも副将WTB山村知也(4年)が個人技で加点して、終わって見れば36-7の快勝で早稲田大を下した。

 明治大の全勝、そして単独優勝は1998年以来、実に21年ぶり。29点もの大差をつけて早明戦で勝ったのは、1940年の52-13に次ぐ史上2番目の快挙だ。

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