経済効果などラグビーW杯は大成功。
人気定着へ日本が推進すべき課題

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • photo by Kyodo News

【今後へのレガシー】

 ラグビー人気は予想をはるかに超え、あちらこちらで沸騰した。RWC前にあったラグビーの人気テレビドラマ『ノーサイド・ゲーム』も無縁ではなかろう。日本代表の快進撃が始まると、ルールを知らない"にわかファン"も急速に増えてきた。喜ばしいことだ。

 試合時のスタジアムはどこもほぼ満員、テレビ視聴率も急上昇し、日本代表の第4戦のスコットランド戦は平均で39・2%、瞬間最高で53・7%に跳ね上がった(いずれも関東地区、ビデオリサーチ調べ)。準々決勝の南ア戦は平均で41・6%にまで上昇した。

 これまで日本代表戦といえば数%だったことを思えば、もう奇跡としかいいようがない。外国チーム同士の対戦となった準決勝もそれぞれ、平均視聴率は20%近い高い数字を、そして決勝戦ではついに20%超えとなった。

 大会組織委員会によると、全国16カ所に設置したチケットなしでも楽しめる「ファンゾーン」の来場者は約113万7千人だった。訪日客は約40万人と推定され、経済効果は4370億円で前回RWCの23億ポンド(約3220億円)を超えたという。

 大会組織委の嶋津昭事務総長は「品位、情熱、結束、規律、尊重の、ラグビーが持つ価値が日本人の心をわしづかみにした」と語り、12の試合会場、55カ所の公認キャンプ地での交流も大会を盛り上げたと強調した。

 大会のレガシーを聞かれると、日本協会の森会長は「ラグビーの良さをみなさんに知ってもらったこと」と言った。

「日本ラグビーにとっては、(今大会が)新たなスタートとなる。この盛り上がりをどうやってつなげていくのかがラグビー協会の仕事だと思っている。一層の強化はもちろん、アジア全域でのラグビー普及・育成を先頭に立って行ない、競技人口を増やし、芝生のグラウンドを増やすなどしていかなといけない」

 日本協会としては近く、プロリーグ構想を打ち出す見通しだ。肝心なのは目的の明確化と、スポンサーなどの財源確保、現実的な仕組みづくりだろう。加えて、国内ラグビーの年間スケジュールもどうするのかをきっちり決めておかなければならない。

 日本代表強化とプロリーグが成功すれば、日本は再び、RWC招致に乗り出すことになる。次のRWC日本開催はいつ頃になりそうかと聞かれると、森会長は「ビル(ボーモントWR会長)に聞いてくれ」と笑った。

 ボーモント会長も笑った。「グッド・アンサー!(いい答えだ)」

 RWCはスポンサーの関係で2大会に1回は欧州で開催されることが慣例化している。そう考えると、2043年ぐらいに再び、日本で開催されることになるかもしれない。

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