経済効果などラグビーW杯は大成功。人気定着へ日本が推進すべき課題 (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • photo by Kyodo News

【ティア1との対戦の確保が必要】

 日本の躍進はもちろん、いい素材、ハードワーク(猛練習)、戦術、プランの徹底、遂行力もあったからだ。チーム強化においては、スーパーラグビー(SR)へのサンウルブズとしての参入、強豪国とのマッチメイク、長期合宿(今年は約240日)も効果的だった。

 日本は2016年6月のスコットランド戦から今年9月の南ア戦までにティア1全10チームと対戦してきた。やはり実戦経験は「財産」となる。ならば今後の代表強化にも、ティア1とのマッチメイクはマストだろう。

 日本代表は来年、7月に日本でイングランドと、11月には欧州遠征でスコットランド、アイルランドと対戦することになっている。

 継続的な機会確保としては、来年で撤退するサンウルブズのSR復帰や、北半球の欧州六カ国対抗(英4協会とフランス、イタリア)、南半球のザ・ラグビー・チャンピオンシップ(南ア、豪州、ニュージーランド、アルゼンチンの各国代表のリーグ戦)に参入の話題も飛び交う。

 日本ラグビー協会の森重隆会長は、アルゼンチンが2007年RWCで3位に躍進した後にザ・ラグビー・チャンピオンシップに加入したことに触れ、こう説明した。

「次の2023年(RWCフランス大会)にはもっと十分な成績をとって、ザ・チャンピオンシップに申し出たいと思っています」

 一方、ワールドラグビー(WR)もまた、日本だけでなく、他のティア2の国々との対戦の機会を増やしたい意向を示している。ラグビーの世界展開を考えた場合、ティア1とティア2の実力差解消により好ゲームが増え、ラグビー普及、市場拡大に寄与するからだ。

 WRのブレット・ゴスパーCEOは「(今大会の)ティア1とティア2の得点差が30・5と下がってきた」と歓迎した。ただ、この数字は日本代表の健闘がそのまま反映した結果だ。ここは、日本以外のティア2の国々にも強豪チームとの交流機会を増やす支援をしていくべきだろう。

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