ラグビー福岡堅樹が15人制→セブンズへ。医師の前に東京五輪を目指す (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • 齋藤龍太郎●撮影 photo by Saito Ryutaro

 そして前半14分、最大のチャンスがやってくる。

 日本代表は今大会、何度も見せてきた素早いパスさばきで左に展開。ライン際にいた福岡は、持ち味の急加速で相手ひとりを抜くと、そのまま快足を飛ばして30メートルほど走った。だが、後ろからのタックルで倒され、惜しくもトライを獲ることはできず......。「いいチャンスだったが、相手のディフェンスの厚さを感じた」。

 その後、ワールドカップ優勝2回を誇る南アフリカ代表FWがモールやスクラムでプレッシャーを強めてくると、日本代表WTB陣に見せ場が回ってくることはなかった。

 そして、ノーサイド。福岡は最後までピッチに立ち続けた。

「やりたいことさせてもらえなかった。南アフリカ代表がいかに本気で潰してくるか、すごく伝わってきた試合でした。準々決勝から上にいくチームとは、埋められない部分が多少あるのも事実かな......」

 大会前から自国開催のワールドカップを「15人制ラグビーの集大成」と決めていた。「最後だからこそ、きついこともがんばれたし、ケガしても前向きになれた。今回のワールドカップは、自分の人生のなかで最高の大会になりました」。

 祖父が医者、父が歯医者という医師一家に生まれた福岡は、福岡高校時代に左右のひざのじん帯を断裂したことをきっかけに、医師の道を志すようになった。「ラグビーもできて、医学部もある大学」ということで筑波大を目指したが、医学部に合格することは叶わなかった(筑波大・情報学群に合格)。

 筑波大に入学後すぐにスピードスターとして頭角を現した福岡は、当時の日本代表監督エディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ/現イングランド代表HC)に見出されて、大学2年時に代表初キャップを獲得。大学4年時には2015年ワールドカップのメンバーにも選ばれた。そして、今大会では4トライを奪取。15人制日本代表において、通算38キャップ・25トライという数字を残した。

 医師になるために、福岡はこれから本格的に「ラグビーから勉強にシフトする」。だが、その前に目指すものがある。それは、7人制ラグビー「セブンズ」に転向し、東京五輪にチャレンジすることだ。

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