田村優は前回W杯より大成長。運命のスコットランド戦へ「爆発する」 (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 田村は目下、大会の得点ランキングのトップに立っている。3試合で10PG(ペナルティーゴール)、5ゴールを成功させて計40点をマークした。 前回W杯でフルバック(FB)五郎丸歩が打ち立てた日本選手のW杯通算最多58点の更新も視野に入っている。

 ただ、自身のタイトル争いの話題には「あまり(意識が)ないです」と乗ってこない。代わりに計4トライの松島幸太朗の名を挙げ、「でも、マツ(松島)はトライ王になると思いますよ」と言って、メディアを笑わせた。

「(プレースキックは)僕のプレーの中のほんの何パーセントなんです。フォーカスされやすいプレーではありますが、僕が80分間、闘っている中でのひとつのプレーにすぎない。ラグビーには、ほかにも大事なプレーがもっとあるので」

 判断力に長けた田村は時に我慢強くパスをつなぎ、時に相手の空いたスペースに効果的なキックを駆使している。過去3試合の田村のパスとキックの数を大会データから拾うと、ロシア戦(パス25、キック14)からアイルランド戦(31、5)、サモア戦(22、11)となっている。即ち、アイルランド戦では大幅にキックを減らしてパスを増やし、ロシア戦やサモア戦では相手との激しいコンタクトを避けるため、効果的なキックを増やしたのだろう。

 スコットランド戦の戦術の落とし込みはこれからだが、アイルランド戦同様、キックの数は減らし、できるだけ相手に球を渡さず、パスで振り回して体力を奪っていくことになるだろう。そのためには、スクラム、ラインアウトのセットプレーを安定させたい。

 相手のリズムを作るのが、SH(スクラムハーフ)のグレイグ・レイドローと、SOのフィン・ラッセルのキックと長短のパスである。自陣でPK(ペナルティーキック)を与えると、正確なプレースキック力を持つレイドローにPGを蹴り込まれることになる。

 また、FB(フルバック)のスチュアート・ホッグと両WTBのカウンター攻撃も相手の強みだ。キックを織り交ぜるとしても、このカウンターは避けたい。スコットランドは次のロシア戦(9日・静岡)にはレイドローやラッセル、ホッグら主力をスタメンから外し、温存してきた。当然、日本との決戦に万全を期すためである。

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