姫野和樹のピンチをチャンスに変える力。勝負どころでジャッカル! (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • 齋藤龍太郎●撮影 photo by Saito Ryutaro

 そんななか、後半10分に姫野が低い姿勢ながらしっかりと立ち、相手ボールを奪う「ジャッカル」を成功。そのプレーが相手の反則を誘い、SO(スタンドオフ)田村優(キヤノン)がPGを決めて再び7点差(19-12)とした。

 そして前述した、後半13分の姫野のトライ。最後はBKの3人も加わって押し込んだ。「みんなにトライを取らせてもらいました。ワールドカップで初めてトライ取ったけど気持ちいいですね!」(姫野)

 さらに姫野は、後半20分にも自陣ゴール前でジャッカルを決めて相手の勢いを止めた。試合後、姫野は「チームがピンチの時にチャンスに変えるようなプレーを心がけているので、ジャッカルが2発、決まってよかった!」と胸を張った。

 この後半10分からの10分間、姫野の大車輪の活躍で一気に日本ペースとなった。

 日本代表は後半35分、途中出場のWTB(ウイング)福岡堅樹(パナソニック)がトライ。そして、ラストプレーとなったゴール前で姫野がスクラムからゲインし、その直後のラックからWTB(ウイング)松島幸太朗(サントリー)が4トライ目を挙げて38-19で勝利した。日本代表はボーナスポイントを含む勝ち点5を挙げてプールA首位に立ち、ベスト8進出に大きく前進した。

「ボーナスポイントを取りたくて、みんなあきらめずにスクラムを押してくれた。サモアが(7点差以内の敗戦の)ボーナスポイントを狙う意地を見せてくれたし、本当にいい試合だったなと思います」(姫野)

 25歳ながら日本代表の中軸を担う姫野は、小さい頃から野球やバスケットボールなどさまざまなスポーツを経験し、名古屋市立御田(みた)中でラグビーに出会った。「ラグビーをやってみて、一番しっくりきた。人に思いっきり当たって、ひっくり返して、純粋に楽しいと思った。自分の身体を最大限に活かせる」(姫野)。

 高校は地元の強豪・春日丘(中部大春日丘)に進学し、1年時から花園で活躍。高校3年時は飛び級で、U20日本代表や日本代表に準じるジュニア・ジャパンにも選出された。

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